研究課題/領域番号 |
20K06557
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43030:機能生物化学関連
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
木股 洋子 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (60255429)
|
研究分担者 |
齊藤 貴士 北海道科学大学, 薬学部, 准教授 (00432914)
小崎 紳一 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (40280581)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
|
キーワード | マラリア原虫 / 薬剤耐性メカニズム / フェレドキシン / 薬剤耐性 / アルテミシニン |
研究開始時の研究の概要 |
近年マラリア原虫の特効薬であるアルテミシニンへの耐性株が出現し、大きな問題となっている。マラリア原虫が持つフェレドキシンという電子伝達タンパク質の97番目アミノ酸の変異(Asp から Tyr)が、この耐性と強く関連することが明らかとなった。本研究では、このフェレドキシンの変異がアルテミシニン耐性をもたらす仕組みの解明を目指し、このフェレドキシン変異体を調製してその機能変化を多面的且つ定量的手法により精密に解析する。それらの結果を総合してマラリア原虫フェレドキシン変異によるアルテミシニン耐性メカニズムを提唱し、アルテミシニン耐性を阻止する解決策の創出とマラリア根絶に貢献する
|
研究実績の概要 |
マラリア原虫のフェレドキシン(Fd)の変異(Asp97Tyr)が、原虫の特効薬であるアルテミシニンへの耐性と強く関連することが報告され、この変異が薬剤耐性をもたらす機序を明らかにすることを目的として、Fdの変異によるタンパク機能の変化やFd依存酵素との電子伝達機能への影響、アルテミシニン応答への影響を詳細に調べた。 令和2から3年度は、in vitro再構成系での電子伝達活性測定から、このFd変異がFdの主要なパートナー酵素であるFd-NADPH酸化酵素(FNR)との親和性を大きく増加させる一方、電子伝達活性を低下させること、Fdはアルテミシニンの直接のターゲットではないことが示された。そこで、Fdの変異がFNRとの親和性を大きく変えることが、FdやFNRが関わる種々の酸化的ストレス応答反応に影響し、薬剤耐性に寄与することが考えられた。 令和4から5年度は、FdおよびNADPHによるFNRの反応制御の分子メカニズムを、構造や機能情報が豊富な植物型FNRを用いて詳細に解析し、マラリア原虫Fdの結合によるFNR反応制御の仕組みについて知見が得られた。また、マラリア原虫の薬剤等による酸化的ストレス下で、Fd依存経路であるイソプレノイド合成系の遺伝子発現が特異的に上昇することが報告されたことから、Fd依存代謝の変動が薬剤耐性に寄与することが考えられ、その仕組みを遺伝子発現レベルで調べることにした。マラリア原虫の祖先的な位置付けにあるサンゴ共生褐虫藻を用いて、そのFd,FNR,イソプレノイド合成系の酵素や、酸化的ストレス応答遺伝子の発現解析を行う系を構築し、ストレスに対するこれらFd関連遺伝子の発現量の変化をRT-PCRで測定することに着手し、予備的なデータを得た。また、薬剤耐性をもたらす変異Fdの機能変化の分子基盤として予想された、Fdの酸化還元電位の測定を行うとともに、変異による酸化還元中心の構造変化を調べるために、ラマン分光解析に着手した。
|