研究課題/領域番号 |
20K06572
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43040:生物物理学関連
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
山田 太郎 茨城大学, フロンティア応用原子科学研究センター, 産学官連携准教授 (40455910)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 中性子結晶構造解析 / ノイラミニダーゼ / 中性子タンパク質結晶構造解析 / 中性子単結晶構造解析 |
研究開始時の研究の概要 |
インフルエンザ治療薬の開発の契機となったインフルエンザウイルス由来の糖鎖分解酵素ノイラミニダーゼに類似した構造を持つ細菌由来ノイラミニダーゼの単結晶に中性子ビームを照射することで水素原子を含めた分子構造を決定する。タンパク質を構成するアミノ酸残基のうち、特に酵素反応に重要と考えられている残基間に存在する水素原子が関わる強い結合(水素結合)についてその距離や水素原子の位置を決定することにより、ノイラミニダーゼが糖鎖を分解する仕組みを解明することを目的とする。
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研究成果の概要 |
ネズミチフス菌由来の酵素ノイラミニダーゼのX線・中性子結晶構造を行うことによりその酵素反応に重要な役割を果たすと考えられているアミノ酸残基のプロトン化状態を決定した。フリー状態に近いノイラミニダーゼおよびノイラミニダーゼ・阻害剤複合体中の重要チロシン残基の水酸基はグルタミン酸のカルボキシル基と短めではあるが通常の水素結合を形成していた。このことからチロシン残基の水酸基は反応開始時点で強い活性を有していないことが判明した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ネズミチフス菌由来の酵素ノイラミニダーゼのX線・中性子結晶構造に成功した。これは世界で初めてのノイラミニダーゼ類の中性子構造解析例である。2つの状態のノイラミニダーゼの酵素反応で重要とされる活性部位中のアミノ酸残基のプロトン状態および水素結合ネットワークを決定した。ネズミチフス菌由来のノイラミニダーゼの立体構造はインフルエンザ治療薬の重要なターゲットタンパク質であるヒトインフルエンザウイルス由来ノイラミニダーゼと類似しており、その反応形式も共通すると考えられている。本研究で得られた結果は、今後、ノイラミニダーゼ類の反応機構およびその新規阻害剤をデザインするための重要な知見を与えるものである。
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