研究課題/領域番号 |
20K06579
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43040:生物物理学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
井上 倫太郎 京都大学, 複合原子力科学研究所, 准教授 (80563840)
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研究分担者 |
杉山 正明 京都大学, 複合原子力科学研究所, 教授 (10253395)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 中性子散乱 / 重水素化 / クリスタリン / 混雑環境模倣 / 小角中性子散乱 |
研究開始時の研究の概要 |
細胞中の生体高分子の濃度は重量分率にして30%にも達し、このような高濃度溶液状態を分子混雑環境と称する。分子混雑環境においては、旧来行われてきた希薄環境下では無視できる様々な効果が顕著になるため、それらの効果を加味した実験系の構築が必須である。そこで、本研究では特に水晶体に注目し、分子混雑環境下における水晶体構成タンパク質であるクリスタリンの動的構造を中性子小角散乱法と重水素化標識の組み合わせにより明らかにする。更に、活性測定等との組み合わせから分子混雑環境下におけるクリスタリンの機能発現の機構解明を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では、タンパク質重水素化技術と小角中性子散乱の組み合わせにより混雑環境下におけるαクリスタリンのサブユニット交換を調べた。重水素化技術の高度化により、中性子散乱において高濃度不可視化部分重水素化αクリスタリンの調整に成功した。本技術を活かすことで、混雑環境下でのαクリスタリンのサブユニット交換の実測に世界で初めて成功した。非常に興味深いことに混雑環境下では希薄或いは準混雑環境と比較して交換速度の低下が観測された。詳細なモデリングにより混雑環境下では、モノマーの遊離が阻害されることが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまでのタンパク質研究は、単成分及び希薄濃度の所謂理想系で進められてきた。しかしながら、生体内は混雑環境であり理想系では無視できる排除体積効果や他の生体高分子との相互作用が顕著となる。そのため、生体内でのタンパク質の構造・ダイナミクスを理解するためには混雑環境を模倣した系での研究が望まれる。今回の研究において、中性子散乱と重水素化の技術により混雑環境下でのタンパク質の情報を引き出すことに成功した。この技術を更に発展させることで、より生体内を模倣した環境の再現が可能になり真のタンパク質の構造・ダイナミクスが明らかにできると強く期待できる。
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