研究課題/領域番号 |
20K06581
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43040:生物物理学関連
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研究機関 | 沖縄科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
松波 秀行 沖縄科学技術大学院大学, 生体分子電子顕微鏡解析ユニット, スタッフサイエンティスト (80444511)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 細菌べん毛 / フック / フックキャップ / X線結晶構造解析 / クライオ電子顕微鏡 / サルモネラ菌 / 自己集合 |
研究開始時の研究の概要 |
細菌べん毛のフックはフックタンパク質FlgEがらせん状に重合した構造である。フックの重合に先立ってフックキャップが形成されることが必要である。フックキャップはフックキャップタンパク質FlgDで構成される複合体でフックの先端に結合して、FlgEが順序よく取り込まれるように正しい位置に導く。フックキャップはフックの重合を効率よく進める役割があると考えられている。本研究では、X線結晶構造解析やクライオ電子顕微鏡解析による構造生物学的な研究手法を組み合わせてフックキャップの構造を決定し、フックの重合におけるフックキャップの役割を分子レベルで考察しフックの重合機構を解明する。
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研究実績の概要 |
細菌べん毛フックキャップは、フックの先端に一時的に形成されるタンパク質複合体である。細胞内から運ばれてきた単量体のフック構成タンパク質はフックキャップの直下で重合することができる。べん毛フィラメントと基部体を連結するユニバーサルジョイントとしてのフックがフックキャップに依存して重合する仕組みには不明な点も多い。X線結晶構造解析法やクライオ電子顕微鏡法による相関構造生物学的な手法で、細菌べん毛のフックキャップのN末端領域を含む完全長の構造を明らかにし、フックの先端に形成されるフックキャップによって単量体のフック構成タンパク質が効率的に重合する仕組みを分子レベルで詳しく理解することを目指している。これまでに、サルモネラ菌由来の野生型フックキャップのX線結晶構造と遺伝学的な機能解析に関する論文を報告している。そこで、サルモネラ菌由来の野生型フックキャップのX線結晶構造との相関構造解析のためのクライオ電子顕微鏡法による高分解構造解析を行なってきた。サルネラ菌由来の野生型フックキャップを単一に精製し、クライオ電子顕微鏡による画像データの取得と単粒子解析に着手してきたが、これまでに撮影した画像データから三次元再構成したフックキャップの構造は、氷包埋した際の分子の方位に極端な偏りが見られたため到達分解能も十分ではなかった。改善策として、画像データの撮影時の工夫やクライオグリッドの作成条件の最適化を試みている。また、野生型フックキャップと同様に遺伝子置換したKQ変異型フックキャップをクライオ電子顕微鏡法の試料として研究を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでに、サルモネラ菌フックキャップのクライオ電子顕微鏡解析用のグリッド作成時に添加した界面活性剤の氷包埋中での分子配向への影響を調べた。撮影した画像データの二次元クラス平均像から判断して、野生型およびKQ変異型のフックキャップとも、一般的に生化学実験でよく使われる界面活性剤の添加では氷包埋時の分子配向に改善が見られたとは言い難く、添加した界面活性剤の濃度によっては氷の厚さを薄くすることがより難しくなった。他に、精製したサルモネラ菌フックキャップをサイズ排除クロマトグラフィーでX線結晶構造解析に用いたタンパク質の結晶化条件に類似の条件と置き換えた後、速やかにクライオグリッド作成に臨んだがそれほど分子配向は改善されなかった。これらのクライオグリッドの作成条件の最適化と並行して、サルモネラ菌以外の細菌由来のフックキャップをクライオ電子顕微鏡構造解析の候補として、タンパク質高発現用のプラスミドの構築および大腸菌での発現と精製を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、サルモネラ菌フックキャップのクライオグリッドの作成条件を最適化してクライオ電子顕微鏡法による構造解析を進める。サルモネラ菌フックキャップは五量体で分子量120万の比較的小さな複合体であり、容易に単量体へと解離する傾向がある。このため、サルモネラ菌フックキャップが複合体として安定に存在するように溶液のpHやイオン強度を最適化して氷包埋する。また、界面活性剤等の添加剤や別のクライオグリッド作成装置でクライオグリッドを作成して、氷包埋時の物理的衝撃からフックキャップの五量体を保護する。サルモネラ菌フックキャプのような比較的小さい分子のクライオ電子顕微鏡法による構造解析では、抗体や融合タンパク質を付加して分子配向や複合体の安定性を改善する報告もありことから、サルモネラ菌フックキャプへの変異導入などと合わせてライオ電子顕微鏡法による構造解析を進める。改善されたクライオグリッドから取得した画像データは複数の単粒子解析用プログラムを組み合わせて包括的に解析する。
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