研究課題/領域番号 |
20K06585
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43040:生物物理学関連
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
妹尾 圭司 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (50283908)
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研究分担者 |
堀口 弘子 浜松医科大学, 医学部, 教務員 (50324356)
山濱 由美 浜松医科大学, 医学部, 教務員 (90242784)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 脂質ラフト / 質量分析 / 銀ナノ粒子 / 金ナノ粒子 / 脂質組成解析 / カラムクロマトグラフィー / 視細胞 / ロドプシン / 二量体 / 視覚 / ナノ粒子 |
研究開始時の研究の概要 |
細胞膜などの生体膜に見られる脂質ラフトは,特定の脂質が集まり,相転移を起こすことで膜上の分子の分布をコントロールしている。その形成には脂質が重要な役割を果たしているが,現在の測定技術では,数百種類もの生体脂質分子のうち,どの分子が脂質ラフトを構成しているのかを分析する事ができない。本研究では,特定の標的タンパク質周辺の脂質を選択的にイオン化し,質量分析を行うという新しい分析方法を開発し,脂質ラフト内外の脂質組成の違いを明らかにする事を目的とする。
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研究実績の概要 |
細胞膜をはじめとする生体膜において、脂質の相分離によって生じる脂質ラフトが情報伝達のコントロールなど多様な役割を果たしていると考えられている。しかし、生体内での状態を保ちながらその性質を分析する事は困難で、特に生化学的な組成の分析には、脂質ラフトとそれ以外の部分を分離する操作を行うことによる影響が問題となってきた。本研究では、免疫ナノ粒子と質量分析装置を用いることで、生体膜中の脂質ラフトを抽出せずに分子組成を解析するという画期的な方法を開発し,この方法でロドプシンの周辺に存在する脂質ラフトを構成している脂質の解析を行う。これまでに、免疫金ナノ粒子や免疫銀ナノ粒子で、脂質ラフトを構成している脂質の分析ができる事を示唆するデータを得ているが、金ナノ粒子を用いた場合,分析できる脂質の種類が少なかった。一方,銀ナノ粒子を用いた場合は多様な脂質が検出出来るが,ナノ粒子の凝集が多く見られるため,脂質ラフト外の脂質の混入の恐れがあることを明らかにしてきた。そこで当該年度においては、免疫銀ナノ粒子の凝集対策を集中して行った。 対策の一つは、銀ナノ粒子と抗体を結合させる時の粒子と抗体の比率などを変える事で、より凝集が少なくなる条件を検討した。もう一つは、作成した免疫銀ナノ粒子を、カラムクロマトグラフィーを用いて大きさで分離することによって凝集のない粒子を選択するという方法について検討した。その結果、カラムクロマトグラフィーを用いることによって、ある程度凝集の少ない粒子を回収することに成功した。但し、回収率が低いなどの問題点もあるため、反応条件の改善や、反応用の銀ナノ粒子の改善なども引き続き行う必要が有ると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
銀ナノ粒子を用いることによって、かなりよい結果が得られそうな手応えがある一方で、免疫銀ナノ粒子の凝集対策が難しく、予想以上に難航しているため。また、研究代表者である妹尾が体調を崩し、2度緊急入院するなど予見できない問題も発生したため、予定していたよりも研究の進行が遅れている点がある。
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今後の研究の推進方策 |
ひとまず、安定して結果の出せている金ナノ粒子を用いた分析法について、脂質ラフトを構成しているロドプシン二量体と脂質ラフト外に存在していると考えられているペリフェリン2に関して周囲の脂質の組成を明らかにする事で、分析法として確立する。その後で、より多様な脂質の分析が可能となる免疫銀ナノ粒子の作製、分離法を改善する方針である。
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