研究課題/領域番号 |
20K06590
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43040:生物物理学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
木下 祥尚 九州大学, 理学研究院, 助教 (40529517)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 脂質ラフト / 局所麻酔薬 / 蛍光脂質プローブ / 蛍光分光測定 / 細胞膜 / 蛍光共鳴エネルギー移動 / 脂質膜 / 蛍光相関分光法 / 神経芽腫細胞 / 蛍光分光法 / 蛍光脂質 |
研究開始時の研究の概要 |
局所麻酔薬の作用機序に関して、これまで複数の仮説が提唱されてきた。しかし、いずれの仮説も矛盾を含んでおり、結論は得られていない。近年、申請者らは「麻酔薬はラフトの形成を阻害することで、チャネルが活動する場を奪い、神経伝達を阻害する」というラフトを基盤とした仮説を提唱している。しかし、細胞膜に存在するラフトをありのままに標識することは困難であり、ラフトを指向した研究は立ち遅れたままである。本研究では 申請者らが開発した脂質の分布を高精度で追跡できる蛍光プローブを利用し、麻酔薬が脂質ラフト形成に及ぼす影響を調査する。本実験により、脂質ラフトを基盤とした、麻酔作用発現の機序に関するモデルを提唱する。
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研究成果の概要 |
近年我々はモデル膜を用いて局所麻酔薬が脂質ラフトの形成を阻害することを報告した。本研究では局所麻酔薬が実際の神経芽細胞腫細胞膜に形成されるラフトに及ぼす影響を調査した。まず脂質ラフトと周囲の流動的な膜領域を二色の蛍光脂質で標識した。この細胞に局所麻酔薬を作用させるとフェルスタ共鳴エネルギー移動(FRET)が増加した。次に、ラフトの主要構成脂質であるスフィンゴミエリン(SM)の拡散係数を算出したところ麻酔薬存在下で可逆的に拡散係数が増加することが分かった。拡散係数は蛍光分子を含むクラスタサイズと負に相関ため、本結果は局所麻酔薬がラフトの形成を抑制することを示唆している。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまで局所麻酔薬の作用機序はイオンチャネルとの直接的な相互作用に帰着されてきた。一方、本研究では局所麻酔薬が脂質ラフトに作用することでチャネルを不活性化させるという、ラフト標的仮説を支持する結果を得た。ここで得られた知見は、より効率的な局所麻酔薬の創薬に向けた、新たな指針を提示する。
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