研究課題/領域番号 |
20K06617
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44010:細胞生物学関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
志見 剛 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 特任准教授 (60817568)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 核ラミナ / ラミン / 核膜孔複合体 / ヌクレオポリン / BAF / cGAS / 核膜孔 |
研究開始時の研究の概要 |
動物細胞では、核ラミナが核膜を裏打ちすることによって核構造を保ち、核膜孔複合体が核膜を貫通することによって核-細胞質間の物質輸送を調節する。このように各々が独自の構造と機能を持つ一方で、核膜上で相互に作用しながら連携して機能すると考えられる。ラミナが核膜孔複合体と接触する領域であるNADは、ラミナが核膜孔複合体の構造と機能に働きかける局所場として、細胞生理学的な意義が極めて高いと推定される。本研究では、NADを含むラミンの領域とNADが結合するゲノムDNA領域を同定し、NADの役割を調べることで、NADが核膜の形成・修復を制御する分子メカニズムを解明する。
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研究成果の概要 |
本研究では、レーザーを照射して細胞の核膜の一部を破壊する顕微鏡技術を用いて、核膜が破損した直後におけるラミンの分子動態を解析した。その結果、すべてのラミンの中で、破損部位にラミンCだけが迅速に集積すること、核膜が破損した直後にラミンCが集積するためには、核移行シグナル(NLS)によってラミンCが核質に豊富に存在すること、Ig-foldドメインを介したBAFとの結合が重要であること、ラミンA/Cが核膜タンパク質をリクルートするBAFが破壊部位に集積すること、および破損部位で損傷したDNAを感知するcGASがDNAと結合することに関与していることを見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、ラミンCが破損した核膜に迅速に集積し、核膜の修復機構に関与することが明らかとなった。さらに、ラミンの変異が原因するラミノパシーにおいて、核膜の修復機構に遅延が生じることが判明した。これらの研究成果は、破壊した核膜の修復と核膜の恒常的な維持を行う分子機構の解明につながるという観点から細胞生物学的な意義が高いだけでなく、核膜の破損を伴う早老症、心筋症、筋ジストロフィーに代表されるラミノパシーの分子レベルでの病態解明と新規治療戦略の探索などの応用研究へと展開する可能性があると考えられる。
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