研究課題/領域番号 |
20K06633
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44010:細胞生物学関連
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研究機関 | 北里大学 (2022) 東北大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
堤 良平 北里大学, 医学部, 講師 (50435872)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 増殖因子 / 受容体エンドサイトーシス / 細胞内情報伝達 / 細胞内小胞 / 解糖系 / エンドサイトーシス / 細胞等代謝 |
研究開始時の研究の概要 |
細胞増殖因子により惹起される細胞内情報伝達制御の分子機構の解明は、50年以上にわたり細胞生物学・生理学上の重要課題である。 しかしながら、細胞表面に存在する増殖因子受容体が実際にどのように細胞外刺激を細胞内に伝播しているのかという本質的な謎は十分に解明されているとは言い難い。 近年、教科書的な「細胞膜から細胞内への情報伝播」 という従来モデルは不十分であるとする「シグナリングエンドソーム (SE)」仮説が提唱されているが、依然その実態は不明である。 本研究では、このSEの実像に迫り、細胞膜受容体を介した細胞応答の動作機序のさらなる理解を目指すとともに、将来的な応用を模索する。
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研究実績の概要 |
血小板由来増殖因子 (PDGF) 等の増殖因子等による細胞への外部刺激は、細胞膜表面に存在する受容体を介して細胞質へと情報を伝達する。 一方で、活性化した受容体はエンドサイトーシスによって細胞内小胞に取込まれることが知られている。 近年、増殖因子等による細胞内情報伝達の惹起は細胞膜からではなく、この受容体エンドサイトーシスによって生成された細胞内小胞を起点として惹起されているという「情報伝達小胞」仮説が唱えられ、エンドサイトーシス小胞の生物学的役割の重要性が注目されている。 しかしながら、このような小胞の機能への理解は限られており、また、小胞を構成する分子等、同小胞の実態は解明されていない。 本研究では、直径約10 nmという微小な磁気ナノ粒子を用いた受容体エンドサイトーシス小胞の特異的な単離法を考案し、同小胞に集積するタンパク質群を質量分析により網羅的に同定することにより、この受容体エンドサイトーシス小胞の実態を解明することを目指している。 今年度は、PDGF刺激によりマウス線維芽細胞に生成する受容体エンドサイトーシス小胞が、ミトコンドリア近傍への糖の輸送を介して増殖因子依存的糖代謝亢進に寄与している、との仮説を検討するため、細胞内においてブドウ糖濃度依存的に蛍光を発するセンサーを用いて生細胞観察による検討を行い、上記仮説を支持する結果を得た。また、同現象を制御する細胞内情報伝達経路の検討を行い、既知の経路に非依存的であることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
所属研究機関の変更に伴い当初の計画より遅延した。 今年度までに、受容体エンドサイトーシス小胞が細胞内情報伝達のみならず、細胞のブドウ糖代謝に重要な役割を果たすことを明らかにしており、現在、これらの知見の学術雑誌への投稿準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
現在までに得られた結果を学術雑誌にて発表するとともに、当初の構想であった、受容体エンドサイトーシス小胞の細胞内情報伝達の役割の解明を遂行する。既に受容体エンドサイトーシス小胞の質量分析による解析は完了しており、同小胞に集積する情報伝達関連分子を網羅的に同定していることから、遂行は十分可能であると考える。 また、解糖系亢進における受容体エンドサイトーシスの制御機構を明らかにし、同機構のがん等の疾病における潜在的な薬剤標的としての評価を試みる。
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