研究課題/領域番号 |
20K06634
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44010:細胞生物学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田中 庸介 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 講師 (90302661)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 糖尿病 / キネシン / ER / 細胞内カルシウム / カルシウムチャネル / 熱ショックタンパク質 / 細胞外小胞 / インスリン分泌 / 小胞体 / 蛋白質品質管理 |
研究開始時の研究の概要 |
糖尿病は生活習慣病のうち最大のものであり、わが国における患者とその予備軍は1,000万人を超えている。その病態の核心を担う膵β細胞からのインスリン分泌不全の機序にはまだ不明な点が多く、根本的な治療法はまだ開発されていない。本研究では、耐糖能異常を呈するキネシン分子モーターの遺伝子ノックアウトマウスを用いて、膵β細胞からのインスリン分泌制御過程におけるキネシン分子モーターの役割を解析する。特に小胞体関連分解との関連を追究し、糖尿病を始めとする幅広い難治疾患の新規治療戦略創出に道を拓く。
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研究成果の概要 |
キネシン-1分子モーターの糖尿病における役割を探るため、KIF5B遺伝子をマウスの 膵β細胞にて特異的に欠損させた。すると膵島からのグルコース刺激性インスリン分泌が特に第二相で減弱し、耐糖能異常を生じた。膵β細胞では、グルコース刺激性のCa2+トランジェントおよびアクチンリモデリングが低下した。その分子機序として、キネシン-1がERでのタンパク質折り畳みを制御するHsp70からHsp90へのシャペロン交換を担い、CaV1.2の発現に必須であることを同定した。またこれに関連した細胞外小胞の分泌機構を発見した。以上のことから、糖尿病に抗するキネシン-1による新しいERの機能的制御機構を解明した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
キネシン-1はこれまで小胞体の形態を制御する分子モーターであると考えられてきたが、本研究ではこれに加え、熱ショックタンパク質の交換によるタンパク質折り畳み機構に大きな機能的意義を担っていることを発見し、小胞体の分子細胞生物学を大きく進展させた。さらにこの機構が膵β細胞のインスリン分泌を司るCaV1.2タンパク質の発現や、細胞外小胞の分泌制御に必須であることを発見し、キネシン-1の新たな細胞生物学的役割を解明した。 これらの発見は学術の発展のみならず、キネシンのトランスレーショナルリサーチの重要な基盤として糖尿病や老化の新しい治療法開発への道を拓くものであり、人類の健康と福祉に大きく貢献する。
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