研究課題/領域番号 |
20K06641
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44010:細胞生物学関連
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
初沢 清隆 鳥取大学, 医学部, 教授 (20256655)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | LAPosome / SNAP23 / phagocytosis / LAP / MORN2 / ALFA-tag / anti-ALFA nanobody / PI4Kα / LC3 / SNAP-23 / phagosome / SNAREタンパク質 / 非標準的オートファジー / マクロファージ |
研究開始時の研究の概要 |
LC3-associated phagocytosis (LAP)において、LC3がphagosomeに局在するLAPosomeは、内部の成熟反応が亢進するがその機構は不明な点が多い。これまでに、LAP関連因子であるMORN2を過剰発現させたLAPosome形成効率の高いマクロファージ(MΦ)株を樹立し、その解析から膜融合に関わるSNAP-23がMORN2誘導性のLAPosome形成に関与する知見を得ている。これはLAP反応が、MORN2-SNAP-23-LC3を軸とする新機序のもとに進行することを示唆する。本研究では、SNAP-23に着目し、MORN2やLC3との関連を解析し「LAPosomeの形成と成熟化の分子機構」を明らかにする。
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研究実績の概要 |
LC3-associated phagocytosis (LAP)において、LC3が局在するLAPosomeは、内部の成熟反応が亢進するがその機構は不明な点が多い。これまでに樹立したLAP関連因子MORN2を過剰発現するLAPosome形成効率の高いマクロファージ(MΦ-MORN2)株を用いて、本研究ではSNARE蛋白質SNAP-23に着目し、MORN2やLC3との関連を解析し「LAPosomeの形成と成熟化の分子機構」を明らかにすることを目的とした。 令和4年度は、昨年度に引き続き計画②「MORN2とSNAP-23の機能的相互作用の解明」および計画③「LC3とSNAP-23の機能的相互作用の解明」を行った。細胞の状態が悪くなったため、新たにGFP-MORN2とMyc-ALFA-SNAP23を共発現するMΦ株を樹立した。SNAP23は野生型、リン酸化型、非リン酸化型それぞれを発現させた。その結果、SNAP23のリン酸化状態はLAPosome形成効率に影響しなかった。つまり、LC3のphagosome局在化後にSNAP23のリン酸が起こる可能性が考えられた。また、これらの細胞を用いた免疫沈降では、MORN2とLC3についてSNAP23との相互作用は検出できなかった。現在、LC3の膜局在を誘導しSNAP23との相互作用も報告されているAtg16L1について、phagosome膜上でのSNAP23とLC3との共局在のタイミングと相互作用について検証を進めている。 さらに、MORN2と相互作用する因子の網羅的解析を行った。mVenus-ALFAとmVenus-ALFA-MORN2をそれぞれ安定発現するMΦ株を樹立し、anti-ALFA nanobodyを用いて免疫沈降した。それぞれの細胞は、zymosanの有無でphagocytosisを誘導した後に回収し、その抽出液を免疫沈降に用いた。免疫沈降物について、研究協力者の福島県立医大・和田教授に質量分析を依頼した。その結果、MORN2と相互作用する因子としてPI4Kα (phosphatidylinositol 4-kinase α)を見出した。現在、クローニングしたPI4KαとMORN2をHEK293T細胞に一過的に発現させ、相互作用を解析している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度は、計画③のLC3とSNAP23のリン酸化変異体との相互作用を調べたが、免疫沈降実験では顕著な相互作用は見られず、他の因子を介在した関係が考えられた。そこで、両者の機能に関与し、同年にLAPosome形成に関与すること報告されたAtg16L1を含めた解析に着手した。また、計画②にある「MORN2と相互作用する因子の網羅的解析」は、ALFA-tagとanti-ALFA nanobody (α-ALFA Nb)を用いた免疫沈降実験がベースとなるが、α-ALFA Nbの精製とその結合セファロースビーズの作成、及びこの抗体ビーズを用いた免疫沈降条件の最適化に予想以上に時間を要した。そのため、同定した相互作用因子の解析が不十分な状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
計画③では、LC3の膜局在を誘導しSNAP23との相互作用も報告されているAtg16L1について、引き続きphagosome膜上でのSNAP23とLC3との共局在のタイミングと相互作用を解析する。これらの解析により、「MORN2の作用によってphaogsome膜上にSNAP23が多く局在化し、相互作用によりAtg16L1が局在し、その結果、LC3がリクルートしLAPosomeが形成される」と考えられるモデルを検証する。 計画②では、令和4年度に同定したPI4Kαについて、MORN2との相互作用を免疫沈降により相互作用を確認する。また、構築したFLAG-PI4KαをMΦ-mVenus-ALFA-MORN2に安定発現させ、in vivoでの相互作用を確認するとともに、この細胞における細胞膜上でのSNAP23の局在状態に着目し、SNAP23のphagosome膜への集積やLC3の局在化への影響を解析する。異物を取り込む際に、「MORN2との相互作用により活性化されたPI4Kαが細胞膜上のPI4Pを増加させ、それにより、SNAP23がphagosome形成時により多く局在化する」可能性について検証する。
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