研究課題/領域番号 |
20K06649
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44010:細胞生物学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
高木 昌俊 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 専任研究員 (60324779)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | Ki-67抗原 / トポイソメラーゼ / 分裂期染色体 / KiTop複合体 / Ki67抗原 |
研究開始時の研究の概要 |
Ki-67抗原は分裂期染色体の周囲を縁取るように局在するタンパク質で、そのタ ンパク質レベルが静止期の細胞で著しく減少することから、細胞増殖マーカーとして汎用されている。一方で Ki-67 抗原の具体的な機能は長らく未知のままであった が、応募者らの最近の研究により、分裂期染色体の形態を染色体の表層から支持していることが示された。さらにその後の研究で、少量 の Ki-67 抗原が II 型トポイソメラーゼαと分裂期染色体上の20から40の領 域において相互作用していることを見出した。本研究では、両者を含むタンパク質複合体 (「KiTop複合体 」と呼ぶ)の性状および機能を多面的に解析する。
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研究実績の概要 |
Ki-67抗原は分裂期染色体の周囲を縁取るように局在するタンパク質で、そのタンパク質レベルが静止期の細胞で著しく減少することから、細胞増殖マーカーとして長年にわたり汎用されている。一方でKi-67抗原の具体的な機能は長らく未知のままであったが、応募者らの最近の研究により、分裂期染色体の形態を(コンデンシン複合体とは独立の機構で)染色体の表層から支持していることが示された。さらにその後の研究で、少量のKi-67抗原がII型トポイソメラーゼα(トポIIα)と分裂期染色体上の20から40の領域において相互作用していることを見出した。本研究では、両者を含むタンパク質複合体 (「KiTop複合体」と呼ぶ) の性状および機能を多面的に解析し、「KiTop複合体が分裂期染色体構築において機能するのか、あるいは他の局面でより重要な役割を果たすのか」を見極める。 これまでの解析において、KiTop複合体の細胞内での振る舞いを解析し、KiTop複合体が分裂期において細胞質と染色体の間を(複合体を保ったままダイナミックに)行き来していることを示唆した。またKiTop複合体の生化学的組成について検討し、Ki-67抗原やトポIIαに加えRNF168 (トポIIαなどを基質とするE3ユビキチンライゲース)を含む複合体であることを示唆した。今年度(3年目)は新たに、PDCD11 (rRNAプロセシング因子)とK63結合型ユビキチンが含まれる可能性を示した。またKi67抗原と分裂期染色体のインターフェースをPLA法 (proximity ligation assay) により解析し、Ki67抗原と二つの分裂期特異的ヒストン翻訳後修飾とが近接していることを示した。以上をもとにKiTop複合体の染色体表層へのターゲティング機構について、具体的なモデルを提案するに至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Ki-67抗原、トポIIα、RNF168などの相互作用インターフェースの同定がなされておらず、KiTop複合体の機能を特異的に撹乱するセッティングを未だ作出できていない。
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今後の研究の推進方策 |
新たに樹立したRNF168ノックアウト細胞などを利用し、これまでの研究をもとに提案した「KiTop複合体の染色体表層へのターゲティング機構に関するモデル」の検証を進める。Ki67抗原の分裂期特異的リン酸化に依存したLLPSが染色体局在に重要であること (Yamazakiら、2022) や、Ki67抗原が高親和性を示すゲノム領域に関する情報(CUT&TAG解析により取得した独自情報)を考慮することで、モデルをさらにアップデートしていく。その過程で「KiTop複合体機能を特異的に撹乱するセッティング」を作出し、本研究課題の主目的であるKiTop複合体機能の理解へと迫る。
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