研究課題/領域番号 |
20K06669
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44020:発生生物学関連
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 (2021-2023) 熊本大学 (2020) |
研究代表者 |
久保 稔 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 特任准教授 (30342778)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 細胞間相互作用 / 次世代シーケンシング / 1細胞解析 / リプログラミング / 幹細胞 / 透明細胞 / 次世代シーケンシング / 頂端細胞 / 仮根 / 環境応答 / 1細胞解析 / 分化全能性 / 植物細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
生物の形作りには、隣り合う細胞同士の相互作用が重要である。しかし植物では、隣り合った細胞の間に細胞壁が存在し、動物細胞のように、細胞同志が直接、接することができない。そのため、動物とは異なった細胞どうしの相互作用があると考えられるが、その実態は限られたものしか知られていない。そこで本研究課題では、隣り合った1個1個の細胞の遺伝子の働きを調べることで、細胞間の相互作用で働く遺伝子を探索し、それらの働く仕組みを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究課題では、隣り合った1個1個の細胞の遺伝子の働きを調べることで、植物細胞間の相互作用で働く遺伝子を探索し、それらの働く仕組みを明らかにすることを目的としている。本年は以下の2つのアプローチによる近接細胞間相互作用因子の探索を試みた。 ヒメツリガネゴケの切断葉では、切り口に面した葉細胞の幾つかがリプログラミングし、幹細胞である頂端細胞となる。加えて、周囲の細胞を削除し、孤立させた1細胞にするとそのほとんどがリプログラミングする。そこでこれらの「孤立させた1葉細胞」を調整し、幹細胞となる細胞の計時的な1細胞トランスクリプトーム解析を行った。得られたデータを元に多変量解析を行った結果、リプログラミングする細胞の高解像度の遺伝子発現プロファイルを得ることができ、リプログラミングする細胞内ではそれに関わるイベントが連続的に起こっていることが明らかとなった。 コケ植物であるオオミズゴケの葉は一層の細胞からなり、らせん状の細胞壁肥厚を持つ透明細胞を取り囲むように葉緑細胞が形成される。これら2種類の葉細胞が秩序だった細胞分化を行うためには何らかの細胞間相互作用が必要である。そこでこの過程に関わる分子機構を明らかにするために、オオミズゴケの葉原基に近い幼葉からプロトプラストを調整し、それらを用いた1細胞トランスクリプトーム解析を行った。 得られたデータを元に多変量解析を行った結果、透明細胞での発現が顕著な遺伝子群が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヒメツリガネゴケの切断葉を用いた研究においては、再現性の高いリプログラミング条件の検討に時間がかかったため、それを用いた新たなサンプル調整、および、1細胞とランスクリプトーム解析のためのデータ取得に時間を要した。 オオミズゴケの未分化葉細胞のプロトプラスト採集については、オオミズゴケの生育が遅いため多量のサンプル調整が難しいことから追加のデータ収集に時間を要している。また、国際植物ゲノムデータベース"Phytozome"に最近、完全公開されたミズゴケ属の一種、Sphagnam falaxの最新ゲノムリファレンスをもとにして、遺伝子プロファイルの再構築を行う必要があった。
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今後の研究の推進方策 |
得られたトランスクリプトームデータについて検証し、最新のリファレンスデータを用いたマッピング、及びリード計数を行う。その後、1細胞解析用に開発されたパッケージを用いた多変量解析、細胞系譜解析を行い、近接細胞間で働く遺伝子候補を同定する。 ヒメツリガネゴケにおいては、得られた候補遺伝子について、ノックアウトやノックインラインを作成し、細胞分化もしくはリプログラミング時に影響がないかを観察する。オオミズゴケについては、in situハイブリダイゼーション法を確立し、これら遺伝子の局在について検証する。
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