研究課題/領域番号 |
20K06672
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44020:発生生物学関連
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
山田 葉子 上智大学, 理工学部, 准教授 (80859695)
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研究分担者 |
川田 健文 東邦大学, 理学部, 教授 (30221899)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 細胞分化 / オートファジー / 細胞性粘菌 / 進化発生 / 胞子 |
研究開始時の研究の概要 |
細胞性粘菌は飢餓ストレスを受けると細胞集合して多細胞となり発生・分化を行う。我々は細胞の飢餓応答であるオートファジーが、細胞性粘菌の細胞分化に特異的な役割を持つことを示し、分化を多様に調節する新規オートファジー制御因子KnkAを同定した。本研究ではKnkAとオートファジーによる分化調節の機構を解明するため、KnkA作用の分子解析や、オートファジーによる分化調節に働く情報伝達因子の分離と機能解析を行う。また進化系統の異なる細胞性粘菌種におけるオートファジーの役割についても検討することで、細胞性粘菌の系統間で見られる分化型多様化の分子基盤としてのオートファジーの役割の理解を目指す。
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研究実績の概要 |
KnkA, Bcas3のオートファジーと細胞分化における進化的変遷を明らかにする目的で、これまで用いたDictyostelium discoideum (Ddis)と系統の異なるPolysphondilium violaceum (Pvio) のknkA, bcas3遺伝子破壊株、P. pallidum (Ppal) knkA遺伝子破壊株を作成し表現型解析した。Ppal bcas3は遺伝子破壊とゲノム編集を繰り返し試みたが成功していない。表現型解析から、柄分化についてDdisと共通した異常が見られる一方、胞子形成には必須でないなど、Ddisとの違いも見られた。 一方、マウス及びシロイヌナズナのknkA, bcas3オーソログをそれぞれのDdis遺伝子欠損株に導入したところ、予想に反し表現型の相補が見られなかった。外来タンパク質とDdis knkAまたはbcas3との相互作用に問題がある可能性を考え、DdisのknkA, bcas3二重欠損株を作成しシロイヌナズナの両遺伝子を発現させたが、依然として表現型は相補されず、他の機能分子との相互作用に種特異性があることが示唆された。 また、オートファジー調節因子の分解を任意に調節する目的でオーキシン誘導デグロンタグ付加タンパク質の分解を試みたが、上手くいっていない。そこで、大腸菌のジヒドロ葉酸還元酵素(eDHFR)をデグロンとしたシステムを試みている。 分化誘導シグナル、cAMPの受容体結合タンパク質を同定する目的で、Ddis cAMP受容体遺伝子に変異型BirAビオチンリガーゼを挿入した株を作成し、cAMPに応答して特異的にビオチン化されるタンパク質をウエスタンブロット解析した。条件検討の結果、多数の非特異的ビオチン化たんぱくに加えて特異的にビオチン化されたと思われるバンドが検出されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和2、3年度に、コロナウイルス感染症にともなう研究自粛、および研究代表者の機関異動に伴う断続などにより進行が遅れていたが、令和4年度も代表者の研究時間が他の業務によって限られたことなどから、進行の遅れを取り戻すことができず、総合的に「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
分化誘導に働くcAMPシグナルの情報経路について、近傍ビオチン化を利用したcAMP受容体結合タンパク質の解析を進める。これまでウエスタンブロット解析で、cAMP特異的にビオチン化されていると思われるバンドが確認されている。実験条件をさらに検討して最適化したうえ、マススペクトロメトリーを用いてcAMP特異的にビオチン化されるタンパク質の同定を目指す。同定されたタンパク質について、変異導入による機能解析、細胞内局在解析などを行う。 PvioおよびPpalにおけるknkA, bcas3遺伝子破壊株について、マーカー遺伝子発現など表現型のより詳細な解析を行い、発表を目指す。Ppal bcas3への変異導入はこれまで大きな欠損の作成を目指したが成功しておらず、in-delによる変異を試みる。Ddis遺伝子破壊株におけるマウスまたはアラビドプシスknkA, bcas3発現株についても、表現型の解析を継続しまとめる。 また、大腸菌のジヒドロ葉酸還元酵素(eDHFR)デグロンを用いたオートファジー活性の任意調節についても、引き続き検討する。
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