研究課題/領域番号 |
20K06683
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44030:植物分子および生理科学関連
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
粟井 光一郎 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (80431732)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | ガラクト脂質 / チラコイド膜 / シアノバクテリア / プロトン駆動力 / 膜脂質 / シロイヌナズナ / ΔpH維持機構 |
研究開始時の研究の概要 |
光合成を担うチラコイド膜の膜脂質は主にガラクト脂質で構成されているが,なぜガラクト脂質が利用されているかは明らかではない。光合成反応のうち,チラコイド膜を介したプロトン駆動は,主に化学ポテンシャル差(プロトン濃度差)に起因することが知られている。これは,電気ポテンシャル差が主要なミトコンドリアのプロトン駆動とは異なる。実際,チラコイド膜を介したΔpHは3程度に達する。しかし,この大きな化学ポテンシャル差を維持する仕組みは明らかとなっていない。そこで,本研究ではチラコイド膜脂質の8割を占めるガラクト脂質がΔpHの維持に重要だと考え,その役割を明らかにする。
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研究成果の概要 |
化学ポテンシャル差(プロトン濃度差:ΔpH)に起因するチラコイド膜のプロトン駆動とチラコイド膜に特徴的な膜脂質組成の関係を明らかにするため、シロイヌナズナの野生株およびチラコイド膜脂質合成酵素遺伝子変異体を用いてプロトン駆動力測定を行ったところ、ジガラクトシルジアシルグリセロール(DGDG)合成酵素変異株であるdgd1株でΔpHの特異的な低下が見られた。他のチラコイド膜脂質合成酵素遺伝子に変異のある株では、ほとんど変化がないか、もしくは電気ポテンシャル差(Δψ)とΔpHの両方に減少がみられたことから、DGDGがチラコイド膜のΔpHの維持に重要である可能性が示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
酸素発生型光合成をおこなうチラコイド膜は、ガラクト脂質であるモノガラクトシルジアシルグリセロール(MGDG)やDGDGが例外なく主要脂質として存在するが、なぜこれらのガラクト脂質がチラコイド膜の8割をも占めて用いられているのかは不明であった。本研究により、ガラクト脂質がチラコイド膜のΔpH維持に寄与している可能性が示された。今後、光合成による光エネルギーから化学エネルギーへの変換システムの一端が明らかになると期待される。
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