研究課題/領域番号 |
20K06692
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44030:植物分子および生理科学関連
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研究機関 | 東邦大学 (2022) 立命館大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
高橋 文雄 東邦大学, 薬学部, 博士研究員 (60332318)
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研究分担者 |
笠原 賢洋 立命館大学, 生命科学部, 教授 (70361748)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | フシナシミドロ / 青色光受容体 / 葉緑体光定位運動 / アクチン / 黄色植物 / 新奇青色光受容体 / LOV / 原形質流動 / LOV光受容体 / 黄緑藻 |
研究開始時の研究の概要 |
葉緑体光定位運動は、陸上植物(被子植物、シダ、コケ)から藻類まで広範に観察される光応答である。適度な光による集合運動は植物本来の光合成生産能力を向上させ、強光による逃避運動は、葉緑体本体へのダメージを軽減する。本研究では、近年黄緑藻から単離した新奇の光受容体が葉緑体光定位運動のメインスイッチと考え、黄緑藻の葉緑体光定位運動の全貌を解明する。また、陸上植物の葉緑体光定位運動の分子メカニズムと比較し進化的考察を行うことを大きな目的とする。
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研究実績の概要 |
紅藻由来の葉緑体を保持する黄色植物は、昆布やワカメなどの褐藻や赤潮藻または海域の一次生産者である珪藻などが属する。その黄色植物に属する黄緑藻フシナシミドロ(Vaucheria frigida)は、古くから光生理学の実験材料として扱われてきた。本研究では、そのフシナシミドロが持つ光反応(青色)の中の葉緑体光定位運動に着目して研究を行ってきた。 緑色植物において葉緑体光定位運動は、青色光受容体フォトトロピンに依存して起こることが報告されてきたが、フシナシミドロはフォトトロピンを保持せず、他の青色光受容体の存在が示唆されていた。近年、フシナシミドロトランスクリプトームデータベースから、新奇青色光受容体様タンパク質が単離された。この新奇青色光受容体様タンパク質は光受容ドメイン(LOV)とアクチン細胞骨格に関連するドメインを保持しており、葉緑体光定位運動の受容体と考えている。 本年度は、葉緑体光定位運動時の阻害剤の効果について解析を行った。信号伝達系の阻害剤を用いると、葉緑体の運動が停止した(原形質流動)。その後、マイクロビーム顕微鏡を使って葉緑体光定位運動を誘導すると集合・逃避運動ともに観察された。フシナシミドロの葉緑体光定位運動は、動物が保持する信号伝達系を用いている可能性が示唆された。アクチンの動態観察には、蛍光ファロイジンを用いて染色した結果、抗体観察より、詳細に観察されることがわかった。新奇光受容体の生化学的解析に関しては、pCold vectorを用いてタンパク質の発現を誘導したが、発色団は結合していなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
フシナシミドロにおける葉緑体光定位運動の生理学的解析を重点的に行い、データは取り終えた。しかしアクチンなどの細胞骨格の動態観察と生化学的な解析が滞っている。特に新規光受容体の生化学的解析では、タンパク質の発現法などを改良したが、発色団の結合また大量発現法の確立ができていない。
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今後の研究の推進方策 |
細胞内のアクチン動態に関して、エレクトロポレーション法を用いて、染色剤を導入し、蛍光観察を行う予定である。また光受容体の生化学的解析に関しては、大腸菌株の変更を行い発色団の結合能を観察する予定である。発色団が結合されれば、分光解析を行う予定である。
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