研究課題/領域番号 |
20K06697
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44030:植物分子および生理科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
愿山 郁 東北大学, 生命科学研究科, 特任研究員 (10346322)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | DNA損傷 / DNA損傷応答 / 植物 / DNA修復 / 転写レスポンス / 細胞周期 / ゼニゴケ / 植物進化 / X線 / ゲノム維持 / 転写 / ゲノム恒常性維持機構 / 進化 |
研究開始時の研究の概要 |
生命の設計図であるゲノムDNAの恒常性を維持することは、その個体の生命維持はもとより、子孫に遺伝情報を正確に継承する根源的な機能として大変重要である。申請者は、生物にとって根源的システムは、個々の生育環境や生活様式に応じてゲノム恒常性維持機構を柔軟に変化させる必要があるのではないか、という新規の仮説を立てた。その仮説を実証するため、多細胞化・陸上進出といった劇的なイベントを経た各進化段階の植物が、新たに獲得した因子を同定し検証する。さらにそれらの因子により、もたされる新たな分子ネットワークを解析し、ゲノム恒常性維持機構の普遍性と多様性の解明まで発展させゲノム恒常性維持機構の新たな展開を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では基部陸上植物であるゼニゴケのDNA損傷応答について明らかにし、シロイヌナズナと比較することで、ゲノム恒常性維持機構が、進化の過程でどのように変化してきたかを検討した。ゼニゴケにおいてもDNA損傷が生じるとDNA修復やDNA損傷に応答した遺伝子群が活性化するが、その制御方法はナズナとは異なっていた。ナズナのDNA損傷応答のマスターレギュレーターSOG1転写因子に近いゼニゴケMpNAC9は、DNA損傷応答の制御の一部は担っているものの、主な働きとしては活性酸素消去系の制御であった。ゼニゴケでDNA損傷応答を主に統括している因子は、水中植物から受け継がれた因子である可能性が考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
DNA損傷応答は、ゲノムの恒常性を維持する機構であるため、生育様式や生育環境によってDNA損傷応答がどのように変化してきたかを理解することは重要である。さらに近年、DNA損傷応答が低温、高塩濃度、アルミニウムや病原菌の感染といった環境ストレス応答とも密接に関連しているという報告が次々となされている。つまりDNA損傷応答の理解は、環境ストレス応答の理解につながり、本研究で明らかになった陸上植物に普遍的、またはある植物に特異的なDNA損傷応答の知見を足がかりとして、新たな手法による環境ストレス耐性植物の開発といった応用面へ発展する可能性が大いにある。
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