研究課題/領域番号 |
20K06707
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44030:植物分子および生理科学関連
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
高原 未友希 (中田未友希) 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (60707579)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | マメ科植物 / 細胞壁 / 葉枕スリット / アオイ科植物 / マイクロフォーカスX線CT / 組織構造の解剖学的解析 / 葉枕 / 力学特性 / 力学的可塑性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、一般的な組織とは異なるユニークな力学的特性を持つ組織として、マメ科植物の「葉枕」に着目する。葉枕はマメ科植物の葉の日周性の運動(就眠運動)や刺激に応答した素早い運動(オジギ運動など)を司る組織であり、伸展と収縮の反復を可能にする力学的な可塑性を有する。本研究では、葉枕の力学的な可塑性を担う細胞壁の構成や修飾状態を明らかにし、その発達過程を制御するメカニズムを遺伝子レベルで明らかにすることを目指す。本研究が完成した場合、再生可能な植物細胞壁を原料とした伸縮性素材の開発といった産業応用につながることが期待される。
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研究実績の概要 |
本研究により発見した「葉枕スリット」と名付けたマメ科植物で広く観察された葉枕皮層運動細胞に見られる細胞壁の特殊なスリット構造をの力学的機能についてのモデルを、昨年度bioRxivにおいて公表した原稿(doi: https://doi.org/10.1101/2022.03.10.483846)の内容(細胞壁の組織学的解析、細胞壁分析、力学試験、有限要素シミュレーション)に加え、マメ科植物クズの葉枕を用いた外液の浸透圧を変化させる実験を追加して取りまとめ、Plant Physiology誌に投稿し、採択された(doi:10.1093/plphys/kiad105)。またその成果を所属機関よりプレスリリース発表した。また、本研究に関連して、植物の葉の運動の力学がどのようにモデル化されてきたかを、近年活発に研究が進められている運動器官の発生に関わる遺伝子や生理活性物質の結果を要約したレビュー論文を執筆し、International Journal of Molecular Science誌に投稿し、採択された(doi:10.3390/ijms231810240)。また、葉枕スリットがマメ科植物で広く保存されていたことから、葉枕スリットの進化的保存性と、葉の運動性進化との関連性を明らかにするため、マメ科以外にも研究対象を広げた。大阪公立大学付属植物園との共同研究で、アオイ科植物ケナフの葉が向日性の運動を示すことを確認し、葉枕の細胞学的研究の準備段階として、マイクロフォーカスX線CTを用いた組織構造の解剖学的解析を行なった。その成果を第64回日本植物生理学会年会において発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの文献調査や解析結果をレビュー論文、原著論文という形で2報発表した点、発見した葉枕運動細胞の特殊なスリット状細胞壁構造「葉枕スリット」が、マメ科植物内で想定以上に広く保存されていたことから着想し、マメ科以外にも研究の対象を広げ、葉の運動の進化多様性研究へ発展した。一方で、分子遺伝学的解析についても、着実に一歩一歩解析を進めている。以上の状況を鑑みて、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
マメ科植物を用いた分子遺伝学的解析を推し進め、関連する遺伝子群の探索とその種間保存性について調べるとともに、マメ科以外の葉の運動に関する研究は細胞壁構造についての解析に加え、運動性や組織構造の多様性にも注目して研究を進め、葉の運動の発生進化メカニズムの理解を目指す。
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