研究課題/領域番号 |
20K06723
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44040:形態および構造関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
山中 明 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (20274152)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | チョウ類 / 表現型可塑性 / 蛹体色 / 季節型 / 神経内分泌因子 / 毛状鱗粉 / 幼虫体色 / チョウ / 鱗粉構造 / 環境応答 / 色彩変化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、チョウ類の表現型可塑性の生理生態学的意義の解明を目的とする。ある種のチョウ類の幼虫・蛹・成虫は、季節あるいは生息環境に応じて色彩や形態を変化させる表現型可塑性をもつ。この翅の季節型変化は、蛹期に脳から夏型ホルモンが分泌されるか否かで決まる。最近、季節型の有無に関わらず、ある種では、体の鱗粉を毛状の鱗粉(毛状鱗粉)に変化させ、その数をも変化させていること、鱗粉細胞の構造そのものを変化させたり、季節によって複眼の色彩を変化させる種がいることを見出した。本研究では、これらの形質変化が、なぜ必要なのか?ということを、内分泌学的・生態学的な側面から解明することを目指す。
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研究実績の概要 |
令和4年度は各種チョウ類の蛹期の表現型可塑性の検討を行った。計画に従い、モンキアゲハの蛹は体色多型の発現調節に関わる環境要因や内分泌機構は不明であり、その詳細を詰めた。蛹化場所の直径の違いならびに蛹化面の粗滑を組み合わせた条件を用意した。短日および長日老熟幼虫を異なる各条件下で蛹化させ、蛹の体色を判定した。休眠蛹および非休眠蛹のいずれにおいても、蛹化場所の直径が小さいと緑色型の蛹の出現割合が大きくなり、直径が大きいと褐色型の蛹の出現割合が大きくなった。また、蛹化面の粗滑の違いによる蛹体色の出現割合に違いは認められなかったため、モンキアゲハの蛹の体色発現に影響する主要な環境要因は、蛹化場所の曲率によって決定されることが示唆された。蛹化面の粗滑が蛹体色に及ぼす影響については今後さらに検討する必要がある。本種の蛹体色の基本型は緑色型であり、発生ステージが前蛹期P-4以降に、褐色化を誘導する因子が分泌されることがわかった。モンキアゲハ5齢幼虫の脳神経節連合体から3種類の粗抽出液を調製し、1検体につき50頭脳神経節相当量をモンキアゲハ短日前蛹の結紮腹部に投与した。その結果、2% NaCl 水溶液粗抽出画分を投与した個体の結紮腹部は褐色化した。以上のことから、モンキアゲハ5齢幼虫の脳神経節に存在する褐色化促進因子は蛹表皮褐色化ホルモン 様因子であることが示唆された。同様に、ナガサキアゲハやシロオビアゲハの蛹体色調節機構についても環境要因、内分泌調節機構の一端が明らかとなった。さらに、ウラギンシジミの蛹体色調節機構についても調査中である。別に、ルリタテハ成虫において、普通鱗(脚表面)の色彩変化が認められたので、内分泌学的・生態学的な側面から検証・追試を試みているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アゲハチョウ類の蛹体色の表現型可塑性について、本年度、モンキアゲハの蛹体色発現調節機構に影響を及ぼす環境要因の一部も明らかとなった。また、ミカン科の葉を食草とするために大量飼育が難しいナガサキアゲハの蛹体色発現機構についても順調に解析が進んだ。本研究課題に取り組む中で、移動が制限されていたこともあり、表現型可塑性の各種形質の変化に地域差が生じていないかを調査できていないが、これまで見つかっていなかった表現形質の変化も見つかってきており、計画はおおむね順調に進展している状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
現在、ある種のシジミチョウ・タテハチョウ類の幼虫・蛹・成虫の発育ステージで、これまでに知られていない表現型可塑性を示すことが予備的調査で明らかになりつつある。今後、これらのチョウ類の新奇表現型可塑性の調節機構を解析していく。また、毛状鱗粉・鱗粉微細構造の異なる成虫は、生息する環境温への温度耐性が異なる可能性が高く、ベニシジミ成虫では、青森個体と山口個体では温度耐性が異なる予備的な観察結果がある。そのため成虫の温度耐性の地理的な変異も明らかにしたい。特に、鱗粉の微細構造、体表面等を詳細に調査していくことを進めていく予定である。
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