研究課題/領域番号 |
20K06726
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44040:形態および構造関連
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研究機関 | 福井県立大学 |
研究代表者 |
佐藤 晋也 福井県立大学, 海洋生物資源学部, 教授 (80709163)
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研究分担者 |
山田 和正 福井県立大学, 海洋生物資源学部, 助教 (20778401)
出井 雅彦 文教大学, 教育学部, 教授 (60143624)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 珪藻 / 細胞壁 / 可塑性 / 遺伝子発現 / 塩分 / シリカ / バイオミネラリゼーション / 形態可塑性 / トランスポゾン / 塩分ストレス / トランスクリプトーム / 形態形成 |
研究開始時の研究の概要 |
単細胞藻類の珪藻はシリカ(珪酸質)の細胞壁をもつ.生化学的研究によりシリカ粒子形成に関わるタンパクの理解は進んでいるものの,細胞壁といった立体構造の形成がどのような遺伝的メカニズムにより制御されているのかは不明である.本研究では塩分変化により形態可塑性を示す珪藻を材料とし、形の決定に関わる遺伝子を探索する.候補遺伝子のノックアウトや情報解析から機能を推定し、細胞壁形態が変わるメカニズムを明らかにする.ここで得られた知見は,立体的なシリカ細胞壁の形作りの謎を解くヒントになるだけでなく,人工的なナノレベル造形による微細回路やナノマシン作成といった技術開発にも寄与することが期待される.
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研究成果の概要 |
珪藻Pleurosira laevisのシリカ細胞壁形成における塩分の影響について検証した結果、平坦な殻とドーム状の殻がそれぞれ塩分2‰と7‰を境に可塑的に変化することが分かった。トランスクリプトーム解析の結果、塩分2‰ではメカノセンシティブイオンチャネル遺伝子が発現上昇し、Ca2+ ATPaseの発現が下降していた。さらに、Ca2+に依存した膜-アクチンフィラメントの結合を仲介するアネキシン遺伝子と、アクチンフィラメントの伸長や架橋形成に関わるArp2/3遺伝子が塩分2‰で発現上昇していた。これにより、珪藻が塩分変化を受けて細胞壁を形成する際のモデルを新たに提唱することができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
珪藻はシリカでできた頑強な細胞壁 (殻) をもつ。殻は立体的かつ緻密で微細な構造をもつが、その形態形成がどのような遺伝的メカニズムにより制御されているのかは不明であった。本研究では珪藻プレウロシラの培養実験から、この珪藻が塩濃度の変化に応じて殻面が平らなものとドーム状の2種類の形態を使い分けることを明らかにした。これら2種類の形態を形成する際の遺伝子発現パターンを比較することで、形態形成に関与する遺伝子を明らかにした。この知見は、立体的なシリカ細胞壁の形作りの謎を解くヒントになるだけでなく、人工的なナノレベル造形による微細回路やナノマシン作成といった技術開発にも寄与することが期待される。
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