研究課題/領域番号 |
20K06727
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44040:形態および構造関連
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
矢野 十織 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (10648091)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | ゼブラフィッシュ / 鰭 / 結合組織 / 関節運動 / 関節 / 形態 / コラーゲン / 膠原線維 / 骨 / 鰭節間関節 / inter-lepidotrichial / joint / 魚 |
研究開始時の研究の概要 |
魚類の鰭(ヒレ)には、骨同士の連結部に関節(鰭節間関節と命名)があり、遊泳運動に必要である。本研究では鰭節間関節の(I)形態形成、(II)構造、(III)機能の理解を目指す。我々ヒトの四肢の指節間関節(指関節)との共通点・相違点を考慮しながら、鰭節間関節の特徴を明らかにするために、まずモデル動物であるゼブラフィッシュの関節形成細胞を抽出し、鰭節間関節関連遺伝子群を見つけ出し、遺伝子ノックアウト個体を作製する。また関節可動性評価法を確立し、遺伝的に可動性が低下した鰭節間関節の機能評価を行う。長寿命人生で誰しも直面する関節障害の新しい研究モデルとして、ゼブラフィッシュを用いた研究を日本から興す。
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研究実績の概要 |
2020年度より開始した当該研究課題は、ゼブラフィッシュの鰭に存在する微小関節構造の形態と機能を明らかにするものである。4年目である本年度は、以下の2点において研究成果が得られた。 (1)我々ヒトの場合は筋・関節の形態が良く知られており、自分の体を動かすことで運動機能の概要を実感することさえできるが、解剖学の専門書にあるとおり未解明な運動機能はヒトでも多数ある。ゼブラフィッシュにいたっては筋の数や走向についても諸説があり、関節形態は未解明である。鰭の運動に関わる約2ミリメートルほどの骨格筋は肉眼観察するには小さく、最先端の顕微鏡技術や標本透明化技術を用いるには分厚いために解析が困難であった。今年度から導入した骨組織の脱灰・軟化技術を応用することによって、鰭の筋・腱・骨の連続性を保った3次元再構築解析が可能となった。鰭には内転・外転運動にかかる筋が多数走向するが、組織切片を作ること無くこの立体配置を捉えることに初めて成功したものと考えられる。特に鰭条骨(鰭プロポーションの大半を占める骨格)に付着する内転筋・外転筋は、骨を挟んで並走するものや(単純なホバリング遊泳に関わる筋群)、内転筋同士あるいは外転筋同士が角度をもって交差するもの(水流を受け止める遊泳に関わる筋群)、可動域を制限する機能が予想される未知の線維構造など、単純な形態観察では過去に得られなかった構造が精度高く観察できる実験系を構築することができた。 (2)解剖学とは、上記のような運動器形態のみならず、構造と運動機能をリンクさせる統合分野であり、運動器研究として鰭の動作解析が必須であった。初年度から2年目にかけてハイスピードカメラを計画通りに購入したものの、精度高く画像化することが出来ずにいたが、本年度は撮影補助機器を複数追加することにより、数ミリメートルの透明な構造物も高画質で取得できる撮影環境を整備することが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度までで、計画された形態・構造解析、運動機能解析の土台が予想以上に整備された一方で、計画された分子レベル・細胞レベルでの解析は遅れている。特に遺伝子ノックアウト解析・遺伝子組換え解析による検証実験が進められておらず、次年度に急ピッチで進める必要がある。したがって全体として成果は一定以上得られているものの、進捗状況としてはやや遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
(1)形態・構造解析や(2)運動機能解析は、本年度に実験系の組み立てが完了したため、次年度はこれについて複数の論文を執筆したいと考えている。一方で(3)分子レベル・細胞レベルでの解析については、次年度前半までに実験動物の作製までを完了させ、後半期にデータ取得をするといったハードスケジュールが予想され、(1)や(2)との両立が難しい。研究代表者・矢野のマンパワーでは達成不可能なので、(1)や(2)については研究協力者をそれぞれ迎えているが、それでも間に合っていないため、(3)を遂行するための研究協力者を追加で1名ほど、(1)と(2)の解析を補助する研究協力者を追加で1名ほど募る予定である。本実施状況報告書の作成段階では研究協力者の目処が立っており、研究計画の通りに次年度の研究が遂行できると考えている。
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