研究課題
基盤研究(C)
本研究では、花粉形成過程において細胞間オルガネラ授受・分解という現象が実在することと、この現象が精細胞と栄養細胞それぞれの液胞によって協調的にもたらされるという仮説を検証することを目的とする。広域透過電子顕微鏡(TEM)画像取得法や走査電子顕微鏡(SEM)を用いた連続切片の三次元構築法を取り入れ、さらに蛍光-電子顕微鏡の同一切片観察法(クレム法)などを用いることで、オルガネラ授受・分解の現場を時空間的に正確に捉える。オートファジー関連の突然変異体を用いて、本現象に関わる因子を探索し、オルガネラ授受・分解のメカニズムの実体に迫る。
花粉形成過程でみられるオルガネラ授受・分解現象に着目した。電子顕微鏡を用いて詳細な広域・三次元画像を取得し、以下の成果を得た。1)雄原/精細胞周囲へのリピッドボディの集積と新規のマイクロリポファジー現象を見出した。2)スポロポレニン生合成欠損変異体の解析により、タペータムからスポロポレニンが放出されるプロセスの詳細と、その機能を示した。3)タペータム内の脂質系オルガネラからポーレンコートが形成されるプロセスを捉えた。4)タペータムにおいて、小胞体膜と色素体包膜に密接な接触があることを見出した。
植物の花粉形成過程には細胞をまたいだ種々のオルガネラ授受・分解現象が存在し、これは動物には見られないユニークなものである。本研究は、植物に秘められた高度なオルガネラ制御機構の実体に迫るものである。さらに本研究は、広域及び三次元の電子顕微鏡技法を駆使することにより、細胞をまたぐような広範囲での現象を捉えることに成功した。これは異分野にも応用可能な本技術の有効性を示すものといえる。
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