研究課題/領域番号 |
20K06728
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44040:形態および構造関連
|
研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
永田 典子 日本女子大学, 理学部, 教授 (40311352)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 花粉 / TEM / SEM / オルガネラ / 三次元構築 / オートファジー / マイクロリポファジー / リピッドボディ / 液胞 / 三次元再構築 / 電子顕微鏡 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、花粉形成過程において細胞間オルガネラ授受・分解という現象が実在することと、この現象が精細胞と栄養細胞それぞれの液胞によって協調的にもたらされるという仮説を検証することを目的とする。広域透過電子顕微鏡(TEM)画像取得法や走査電子顕微鏡(SEM)を用いた連続切片の三次元構築法を取り入れ、さらに蛍光-電子顕微鏡の同一切片観察法(クレム法)などを用いることで、オルガネラ授受・分解の現場を時空間的に正確に捉える。オートファジー関連の突然変異体を用いて、本現象に関わる因子を探索し、オルガネラ授受・分解のメカニズムの実体に迫る。
|
研究実績の概要 |
本研究では、花粉形成過程において細胞間オルガネラ授受・分解という現象が実在することと、この現象が精細胞と栄養細胞それぞれの液胞によって協調的にもたらされるという仮説を検証することを目的とする。この目的のために、従来型のTEM法に加え、広域SEM法及び連続切片SEM法を用いて、花粉形成過程を通じた詳細な広域・三次元画像を取得した。また、従来の化学固定に比べ、膜の歪みなどが少なく真の姿を捉えるのに適していると言われる凍結固定法も取り入れた。過去には葯や花粉の凍結固定はあまりうまくいかないことが多かったが、充填剤や固定剤の工夫により、凍結でも良好な固定像を得ることに成功した。これにより、野生型シロイヌナズナにおける花粉形成過程における良好なオルガネラ像の取得が可能となり、研究を進める上で基盤となる手法を確立することができた。 今後の展開としては、精細胞-栄養細胞間だけを扱うのではなく、葯タペータム細胞からのオルガネラ及びその内容物がどのように離れた別細胞である花粉側に授受されるかについても着目した。観察のターゲットを広げたことにより、オルガネラ相互作用などの新たな知見が蓄積しつつある。 さらに、突然変異体や形質転換体の観察も進めた。幾つかの突然変異体観察では、野生型と比べオルガネラ形態や分布の異常も見つかっている。また、タペータム特異的プロモーターで発現を誘導したオルガネラ局在GFPの発現ベクターを作製中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、広域SEM法と連続切片SEM法を用いて、花粉形成過程を通じた広域・三次元画像を取得した。効率よい連続切片撮影を行うために、ACAT(連続切片自動撮像装置)の導入を行ったが、当初想定していたよりも納期が遅れ、また作動中にエラーが頻発するなどして、思うように撮像が進まなかった。これにより、大規模データの取得に少々遅れが生じている。また、GFPを用いた共焦点レーザー顕微鏡観察も併用する予定だったが、ベクターコンストラクションの過程で目的とする酵素において少なくとも2種類以上の長さの転写産物があることが判明し、作成段階で時間を要した。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究では、花粉形成過程にみられる精細胞から栄養細胞へのオルガネラ授受・分解という新しいオルガネラ制御機構に着目して研究をスタートした。広域SEM法や連続切片SEM法を用いた広域・三次元画像により、この現象については概ね全体像を捉えることができた。次のステップとしては、細胞間オルガネラ授受・分解に関わる因子を探るということになるが、この際、オートファジーのみを対象とすると行き詰まる可能性が高いと感じ、花粉形成に関わる幅広いオルガネラ動態まで対象を広げることにした。特に、葯タペータム細胞からのオルガネラ及びその内容物が、どのように遠く離れた別細胞である花粉側に授受されるか、といった観点は興味深いと考えている。 ACAT(連続切片自動撮像装置)も順調に稼働し始めており、最終年度でのデータ収集には期待できる。また、GFP形質転換体作成も順調であるため、その解析も併用していく予定である。
|