研究課題/領域番号 |
20K06741
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44050:動物生理化学、生理学および行動学関連
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
中川 秀樹 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 准教授 (80212083)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 行動計画 / リアルタイム視覚情報処理 / アマガエル / 着地行動 / 前肢伸展行動 / 行動解析 / 高速後ビデオ撮影 / オプティックフロー刺激 / 高速度ビデオ撮影 / 実時間視覚情報処理 / 画像解析 |
研究開始時の研究の概要 |
我々は、アマガエルの着地行動に伴う前肢伸展行動のタイミングは、ジャンプ開始以前の行動計画によって制御されることを示唆してきた。本研究では、アマガエルの着地行動戦略に行動計画は必須か、また、視覚フィードバックの寄与は本当にないのかを明らかにする。実験Iでは、スライディング装置を用いて強制的に着地させたとき、前肢伸展行動を発現するかを検証し、行動計画の必要性を検討する。実験IIでは、着地行動の発現時に、着地点が遠ざかる様に見えるオプティックフロー刺激を与えてやることで、前肢伸展行動のタイミングにどの様な影響があるかを研究し、着地行動における視覚フィードバックの役割の有無とその機能を検討する。
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研究成果の概要 |
実験I:アマガエルの誘発されたジャンプと強制的に着地面に向けて移動させた時の前肢伸展行動の発現タイミングと振幅を統計的に比較した。その結果、着地に備えた前肢伸展はリアルタイムの視覚情報処理だけでは発現せず、行動計画を伴うジャンプ時にのみ観察されることが明らかになった。 実験II:アマガエル着地に備えた前肢伸展の発現タイミングを、その着地面に1)静止した2)接近してくる3)遠ざかる同心円のシミュレーション画像を提示して測定し、統計的に比較した。その結果遅延時間は2)1)3)の順に有意に大きな値となり、前肢伸展行動の発現タイミングはリアルタイム視覚情報処理により調整されていることが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
行動を計画することは我々が日常を生きていくうえで、なくてはならない能力である。これまでこの高度な能力は、ヒトや霊長類でしか研究できないと考えられてきた。しかし、近年、フクロウ、コウモリ、さらにはアリにまで行動計画の存在が示され、多くの動物種がこの高次脳機能の研究のモデルと成り得ることが示された。全ての行動を実時間感覚情報処理に負っていては、神経系の計算負荷は膨大なものになってしまう。そこで、行動計画と感覚フィードバックによる修正を組み合わせることで、その負荷は大きく軽減できると期待される。本研究は、アマガエルの着地行動の研究により、動物がこの戦略を実際に実行していることを初めて明らかにした。
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