研究課題/領域番号 |
20K06743
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44050:動物生理化学、生理学および行動学関連
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研究機関 | 前橋工科大学 |
研究代表者 |
安藤 規泰 前橋工科大学, 工学部, 准教授 (70436591)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 昆虫 / 羽ばたき運動 / 筋肉 / 体節 / 飛行制御 / 羽ばたき飛行 / 運動制御 |
研究開始時の研究の概要 |
昆虫は羽ばたき飛行中に翅だけでなく,腹部を動かすことが古くから知られている.そしてこの機能として,重心を移動させることで飛行制御を補助している,と予想されてきた.しかし,「なぜ動かすのか」という根本的な問いに対して明確な答えは得られていない.本研究では,その解明のカギを昆虫飛行の「進化」に求め,飛翔筋と体節の筋の起源が同じことから,共通の極めてシンプルな制御機構がその背後にあるとの仮説を立てて研究を行う.
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研究実績の概要 |
昨年度試みた神経系切断による腹部運動抑制は,腹部各体節の運動を完全に抑制できる点で有効であったが,酸素供給のための腹部運動を止め飛行そのものの活動を抑制することが指摘された。このことから,以前試みた腹部第一節の背縦走筋(ab1DLM)を切断することで胸部―腹部間のジョイントの動きを抑制する方法と,運動解析の再現性を高めるため花の前のホバリング飛行を組み合わせた実験により,腹部運動の飛行制御に対する機能を自由飛行で解析した。当初,切断後の個体が飛行しない課題があったが,切断後1日静置することでホバリング飛行が可能であることが分かり,解析に十分なデータを取得することができた。その結果,ホバリング飛行は可能であるものの,未処理の個体群と比べて腹部の振動が増大し,この振動成分が羽ばたき周波数に相当することが分かった。このことから,羽ばたき運動に伴う胸部の振動が腹部の受動的な振動をもたらすと考えられた。以上のことから,腹部運動の役割として,能動的に腹部を逆位相で動かして振動を打ち消す,もしくは筋収縮により胸部―腹部間のダンパ特性を変化させることで振動を打ち消す効果があるのではないかと予想した。 また,ab1DLMの筋電位計測を昨年度に引き続き実施し,飛翔筋との相関について積分筋電位で解析を行った。腹部角度とab1DLMの積分筋電位は高い相関を示したことから,運動単位の動員制御が腹部運動の主要なメカニズムであると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで困難であった,腹部運動の抑制後の自由飛行実験について,安定したホバリング飛行を高い再現性で発現させることのできる実験手法を確立した。これにより,同じ行動について,腹部運動の有無の影響を自由飛行で比較することが可能となった。今後腹部固定など他の操作と組み合わせた自由飛行解析の推進が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
自由飛行の例数を増やすとともに,運動解析のパラメータを増やして,腹部運動の機能についてより詳細な解析実施する。筋電位計測(制御メカニズムの解析)では,波形の解析から動員制御,頻度制御双方の可能性について考察を行う。最終的にこれら機能と制御の解析結果を組み合わせ,研究成果の論文発表を行う予定である。
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