研究課題/領域番号 |
20K06746
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44050:動物生理化学、生理学および行動学関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
高松 信彦 北里大学, 理学部, 教授 (40206876)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 転写制御 / 概日リズム / 末梢時計 / Per2 / HSF1 / 冬眠 / 体温変動 / 中途覚醒 / AMPK / Per2遺伝子 / 低体温 |
研究開始時の研究の概要 |
冬眠哺乳動物シマリスは,夏季の活動期には,約37℃の体温を保って生活しているが,冬季の冬眠期には,5~7日間の持続的な約5℃の低体温状態の冬眠と約20時間の中途覚醒(体温が約37℃に回復する)を繰り返す。冬眠に入る時には,代謝を抑制し,体温を低下させていると考えられるが,その分子機構はわかっていない。HSF1は時計遺伝子Per2の転写活性化及びエネルギーセンサーのAMPKの活性制御に関与することから,本研究では,エネルギー代謝の中心である肝臓において,HSF1が概日リズムと代謝の制御に関与し,両者を連動させることにより,冬眠期特異的に低体温を誘導している可能性について解明する。
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研究成果の概要 |
哺乳動物では,睡眠-覚醒リズム,体温変動や代謝などの様々な生命現象が体内時計によって制御されている。本研究では,冬眠哺乳動物における末梢の概日時計と冬眠との関連を調べるため,シマリス肝臓における時計遺伝子の発現を解析した。冬眠期には,Per2 mRNAは中途覚醒時の体温上昇により活性化されたHSF1により一過性に増加し,深冬眠-中途覚醒サイクルにおいて周期的な変動を示したが,Bmal1 mRNAには周期的な変動は観察されず,末梢の概日時計が機能していないと考えられた。従って,冬眠期には新たな遺伝子ネットワークの形成により冬眠に必要な遺伝子発現が行われている可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
冬眠哺乳動物は,深冬眠中には,数日間-数週間,数℃の低体温で,丸まった固定した姿勢で過ごす。冬眠期の深冬眠-中途覚醒サイクルでは心拍数が大幅に変動するため,虚血-再灌流のような状態に晒される。また冬眠中のエネルギー源として脂肪を蓄積し,体重を大幅に増加させる種もいる。これらの観察から,冬眠哺乳動物は低体温症,廃用性筋萎縮,虚血-再灌流による細胞へのダメージや糖尿病に対して強い耐性を有していると考えられており,その分子基盤の解明は医療にも有用な知見をもたらすものと期待されている。本研究により,冬眠期に構築される遺伝子ネットワークの解析は,そのような分子基盤の解明に繋がることが期待される。
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