研究課題/領域番号 |
20K06747
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44050:動物生理化学、生理学および行動学関連
|
研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
本間 光一 帝京大学, 薬学部, 教授 (90251438)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 刷り込み / 甲状腺ホルモン / 早期学習 / プライミング / ニワトリ / IMM |
研究開始時の研究の概要 |
刻印付けは、孵化後間もないヒナが最初の視覚経験をもとに形成する学習記憶である。記憶の獲得・維持・想起に関連する遺伝子を同定し、それら遺伝子の機能とともに、そのメカニズムを解明する。本研究では、「脳内甲状腺ホルモンによる鳥類早期学習プライミング機構の解明」を大目的とした以下の研究目的を遂行する。 1、T3の脳内流入が引き起こす神経微細構造内のアクチン骨格再編成の生化学的解明 2、刻印付け初期過程と記憶維持・想起領域とをつなぐ神経回路の生化学・薬理学的解明 3、メモリープライミング(T3)が高める認知的柔軟性の行動学的解明 4、刻印付けによるIMM領域とIMHA領域で起こる神経活動の生理学的解明
|
研究成果の概要 |
刷り込みの神経伝達機構と解剖学的基盤を明らかにすることで、ニワトリヒナ脳内甲状腺ホルモンによる学習プライミング機構を解明する業績を達成した。ムスカリン性アセチルコリン受容体が刷り込みに必要であることを示した。胎生期にニコチン性アセチルコリン伝達を遮断するとヒナのバイオロジカルモーションに障害が生じることを示した。中脳のドーパミン性神経核や海馬には、セロトニン受容体サブファミリー遺伝子群が発現していることを示した。脳スライスを用いて、甲状腺ホルモンによる抑制的な電気生理学的調節機構を明らかにした。刷り込み学習をミリ秒単位で解析できる新しい行動装置を開発した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまで刷り込みは離巣性鳥類の親を覚える特殊な記憶学習であり、その後の個体発生の種々の学習に影響を及ぼす学習とは考えられていなかった。しかし、代表者らの研究の結果、学習に伴って脳内に流入する甲状腺ホルモンによってニワトリヒナの刷り込み学習が可能になると、その後の学習の習得力が飛躍的に向上することがわかった。本研究は、学習臨界期中に遷移する神経回路のキー分子として甲状腺ホルモンに焦点を当て、新たに開発した行動装置を利用して研究を遂行する独自性の高いものであり、視覚優先学習と聴覚優先学習における脳機能を比較しながら脳の機能的進化を考察できる点において、国内外の研究にはない視点と成果が期待できる。
|