研究課題/領域番号 |
20K06764
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45020:進化生物学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
菊池 真司 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 准教授 (80457168)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 自家不和合性 / 遺伝的組換え / 減数分裂 / FISH / 花粉 / ASP-PCR / 遺伝的組み換え / S遺伝子座 / F-box / 自他認識 / 組換え |
研究開始時の研究の概要 |
自家不和合性の常識に自他認識因子の完全連鎖がある。自他認識因子があるS遺伝子座内での組換えは自家受精への変換をもたらすため、自他認識と組換え抑制が一緒に進化したわけである。実際、交雑集団を調べると組換え体は出現しない。ところがリンゴのS遺伝子座において、減数分裂細胞を直接観察すると高率で組換えが生じていた。さらに、花粉からも組換え型のSハプロタイプが見つかった。本研究では、解析規模を拡大して、減数分裂での組換えの可視化、花粉・後代植物の遺伝子型の決定から、この“潜在的な”組換えの実態を調査し、受精過程で組換え型Sが排除される可能性やSハプロタイプの多様化に関与した可能性を考察する。
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研究成果の概要 |
本研究は、1 Mbを超え、雄性側の遺伝子のクラスターが存在するリンゴS-locusの組換え頻度を明らかにすることを目的とした。BAC-FISH解析から、減数分裂におけるリンゴS-locus内の組換えが可視化された。次に花粉を1粒ずつからDNAを抽出し、アレル特異的なPCRでジェノタイピングを行うと、減数分裂よりも低い割合で、組換えSハプロタイプを持った花粉が見つかった。さらに、交雑実生のジェノタイピングを行ったところ、組換えSハプロタイプのを持つ個体は見つからなかった。この潜在的なS-locusの組み換えは、S-locusの多様性の創成と非自己認識システムの維持に関与する可能性がある。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
自家不和合性遺伝子座における雄性側の遺伝子と雌性側の遺伝子は、自他認識システムの崩壊につながるために、それらの間では遺伝的な組換えが抑制されている。しかし、協調的非自己認識システムを持つ植物では、新たに出現した雌性側因子を認識するために、雄性側の因子を多様化し、ハプロイド間で共有する必要がある。これに遺伝的な組換えが必要であると考えた。先行研究と同様、後代で組換えSハプロタイプは見つからなかった(完全連鎖)。一方、減数分裂や花粉で組換えSハプロタイプを発見し、潜在的に自家不和合性遺伝子座内で遺伝的な組換えが起こることを初めて示した。これは、非自己認識機構の分子進化の解明につながる成果と言える。
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