研究課題/領域番号 |
20K06768
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45020:進化生物学関連
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
児玉 有紀 島根大学, 学術研究院農生命科学系, 教授 (80582478)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | ミドリゾウリムシ / クロレラ / 細胞内共生 / ミトコンドリア / モノクローナル抗体 / トリコシスト / 進化 / 原生生物 |
研究開始時の研究の概要 |
研究代表者は、繊毛虫の「ミドリゾウリムシ」とその細胞内に共生する緑藻の「クロレラ」を用いて、真核細胞同士の細胞内共生の成立のプロセスを初めて明らかにした。本研究では、トランスクリプトーム解析や免疫化学的な手法を用いて、上記のプロセスの分子機構を解明する。さらにラマン分光法を用いて、食胞膜からPV膜の分化に伴う分子構造の変化を明らかにする。本研究の発展は、細胞内共生成立に普遍的な現象の分子機構の解明、細胞内共生関係の維持を通した生態系の維持と環境保全、細胞内共生による真核細胞の進化と多様化のメカニズムの解明等に繋がると期待される。
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研究成果の概要 |
ミトコンドリアや葉緑体を生み出した細胞内共生は現在でも多くの生物同士で見られ、真核細胞の進化や多様化の原動力となっている。しかし細胞内共生の成立や維持の機構はほとんど明らかにされていない。細胞内共生研究の新たなモデル生物として注目されている繊毛虫のミドリゾウリムシとその細胞質内に共生しているクロレラを用いて、以下を明らかにした。(1) クロレラが宿主食胞膜から宿主細胞質中へ脱出する際、クロレラ1細胞のみが精密にくびりとられることを明らかにした。(2) ミドリゾウリムシの細胞内にクロレラが共生すると、宿主のミトコンドリア数が減少し、その機能も低下することを複数の方法で初めて証明した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
細胞内共生は、原核細胞からの真核細胞の誕生や、真核細胞の進化と多様化の原動力となった普遍的生命現象で、地球上の至るところで繰り返して行われている。ヒドラやサンゴなどの刺胞動物においても、共生藻の存在により宿主のミトコンドリア関連遺伝子の発現が低下することが報告されている。これは相利共生関係における宿主ミトコンドリアとの関連の重要性や普遍性を示唆している。本研究は、細胞内共生による真核細胞の進化と多様化のメカニズムの解明のみならず、細胞内共生の成立や維持に普遍的な現象の解明、造礁サンゴと共生褐虫藻のように、藻類との細 胞内共生によって保証されている生態系の維持と環境保全等にも繋がると期待される。
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