研究課題/領域番号 |
20K06769
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45020:進化生物学関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
中島 敏幸 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 教授 (70314945)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 共生 / 実験進化 / 生態系 / ゲノム / クロレラ / 大腸菌 / テトラヒメナ / 細胞内共生 / 藻類 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,生態系の相互作用と化学量論的制約が構成種に選択圧を及ぼす進化過程を観察し解析するために,生産者や分解者を含む生態系レベルの培養系(マイクロコズム)を用いる.これは光照射のみで構成種が存続するフラスコ内の生態系である.構成種はクロレラ,大腸菌およびテトラヒメナであり,それらの間の共生関係の進化を形質レベル,DNAレベル,エピゲノムレベルで解析し,メンバー間の共生が出現(起源)し進化する機構を解明する.その結果に基づいて,光独立栄養生物と従属栄養生物間の共生の起源と進化についての検証可能な仮説と一般理論を提案する.さらに,共生を進化させる工学的技術の方法論も提示したい.
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研究成果の概要 |
クロレラ・大腸菌・テトラヒメナから構成される合成生態系を作成し13年間の培養を行なった。解析の結果,以下が明らかになった. (i) クロレラには集塊を形成するタイプ(大腸菌と共生しやすい)とテトラヒメナに取り込まれやすい分散タイプが進化した, (ii) 細胞が長くなる非共生型の大腸菌が存在し,この形質の遺伝子を特定した, (iii)アミノ酸要求性の大腸菌がクロレラ集塊に入り込むことにより生存繁殖できること, (iv) 5, 6, 8, 13年培養のクロレラ分離株と祖先株の計28株の全ゲノム解読を行い,集塊形成に関与する可能性のある遺伝子群を特定した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、実験合成生態系の13年間の長期培養を解析し光栄養生物(藻類)と従属栄養生物(細菌及び繊毛虫)との間の共生の進化過程をを実証的に解析したものである.このような解析は国内外で他に例がない.従来の研究が共生をすでに進化させた生物を用いた解析であるのに対し,本研究ではこのモデル生態系において構成種間に共生が起源し,進化する過程を追跡した.このモデルは、進化対象を切り取って解析するのではなく,分子,細胞,個体群,生態系過程全体を捉え,各階層間関係の中で構成種の進化を明らかにするという全く新しい手法である.この手法は還元主義的方法と全体論的方法を統合した検証可能な新しい進化研究手法となるだろう.
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