研究課題/領域番号 |
20K06777
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45020:進化生物学関連
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
大山 隆 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (60268513)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | 食虫植物 / 消化酵素 / 遺伝子発現 / エピジェネティクス / モウセンゴケ / 捕虫葉 / S1型ヌクレアーゼ / トランスクリプトーム / エピジェネテュクス / 植物ゲノム / 環境応答 / 新規形質獲得 / 自己防御遺伝子産物 / エピジェネティック制御 |
研究開始時の研究の概要 |
我々は、これまでにツルギバモウセンゴケ(オーストラリア産の大型モウセンゴケ)を用いて、消化液に含まれるタンパク質の解析を行ってきた。そして、消化液を構成する主要なタンパク質は自己防御遺伝子産物であり、それらをコードする遺伝子は腺毛(当該植物の捕虫・消化器官)特異的に発現し、一部の遺伝子に関してはエピジェネティックな発現制御を受けていることを解明した。本研究は、これらの特徴が、食虫植物という生物全般に共通したものか否かを明らかにすることを目的とし、他の捕虫様式をもつ食虫植物を用いて、各植物の消化液中の主要なタンパク質の同定、ならびにそれらをコードする遺伝子の同定と発現制御機構の解析を行う。
|
研究成果の概要 |
ツルギバモウセンゴケの消化液には少なくとも26種類のタンパク質が含まれていることを明らかにした。その内、S様リボヌクレアーゼ、システインプロテアーゼ、β-1,3-グルカナーゼ、ヘベイン様タンパク質、クラスIキチナーゼ、ソーマチン様タンパク質、S1型ヌクレアーゼ2種の各々について、遺伝子発現やDNAのメチル化修飾の解析などを行った。その結果、S1型ヌクレアーゼの1種を除き全ての遺伝子が腺毛特異的に発現をしていることと、半数がメチル化を介したエピジェネティックな制御を受けていることが示唆された。また、非食虫植物の根で発現する遺伝子の異所的発現が食虫植物の消化液の起源である可能性が強く示唆された。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
食虫植物の祖先は、長い年月をかけて「昆虫などを捕らえるための器官」と「捕らえた獲物を消化・吸収する能力」を獲得したと考えられている。最近になって一部の食虫植物のゲノム配列が解読され、食虫植物の進化・系統学的な位置やゲノムの特徴などが明らかになり始めた。しかし、捕虫器官の形成に関わる遺伝子はまだ同定されていない。一方、我々の研究により獲物の消化に関わる機能が進化的にどのように獲得されたかが明らかになり始めた。本研究により、消化液中の酵素やタンパク質の種類、機能、遺伝子発現とその制御機構などに関して多くの新知見が得られた。当該分野におけるその意義は大きく、関連分野にも大きな波及効果があると考える。
|