研究課題/領域番号 |
20K06779
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45020:進化生物学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
吉田 尊雄 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(海洋生物環境影響研究センター), 主任研究員 (60399566)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 細胞内共生 / 共生者の獲得 / 共生の維持 / 共生 / 細胞内 / 相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
深海の熱水域や湧水域の化学合成生態系に優先する動物の多くは、自身の細胞内に化学合成細菌(以後、共生菌と呼ぶ)を共生させ、共生菌が合成する物質を得ていると考えられている。共生菌は、どのようにして宿主となる動物の細胞内に入り込み、維持されるのか、そのメカニズムは解っていない。本研究では、深海性の二枚貝シンカイヒバリガイを用いて、共生菌の獲得と維持に関わるメカニズムについて解析する。
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研究成果の概要 |
本研究では、共生菌がエラ細胞内に共生する深海性の二枚貝シンカイヒバリガイを用いて、共生菌の維持に関わる宿主由来の因子を同定し、その分子メカニズムを解明することを目標として研究を行った。研究方法としては、シンカイヒバリガイのエラ組織を用いて、発現遺伝子解析、抗体を用いた宿主由来の因子の局在解析などを実施した。その結果、共生菌は環境中からエラ上皮細胞の食作用によって細胞内の食包に取り込まれるが、宿主に分解されずに細胞内に維持される。共生菌の維持には、宿主の細胞内の栄養感知に関与する因子によって制御されており、細胞内共生は、このシステムを利用して共生を成り立たせている可能性を見い出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
動物の細胞内に微生物が共生する共生系では、宿主である動物が共生者である微生物を細胞内に取り込んだ上で、取り込んだ微生物が細胞内で勝手な振る舞いをしないように制御して共生系を維持する必要がある。本研究では、宿主が食作用により微生物を種類を選ばずに細胞内に取り込むが消化される、一方で、共生者となる微生物は、細胞内で消化されずに維持されることを見出した。この共生者の維持に関与する宿主の因子を新たに同定し、それが宿主の微生物からの栄養摂取と関連することを明らかにした。本研究は、細胞内共生系への生物適応システムの実態を理解するのに貢献する。
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