研究課題/領域番号 |
20K06782
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
田邉 晶史 東北大学, 生命科学研究科, 助教 (40549044)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 環境DNA / 系統地理 / 魚類 |
研究開始時の研究の概要 |
環境DNA分析法の発展により、水中の環境DNAを濾過採集して解読すれば、個体を採集することなく多種の水圏生物の遺伝的情報が得られるようになってきた。そこで、本研究課題では種内変異の多い領域を増幅可能なユニバーサルプライマーを作成し、そのユニバーサルプライマーを用いて日本全国の河川環境DNAから網羅的に魚類DNAの部分塩基配列を増幅・解読し、種ごとに地理的分化の境界を推定する。十分な情報が得られた魚種を両側回遊性や純淡水性、底生と非底生などの生活史・生態型で分類し地理的分化の境界を重ねることで、地理的分化の原因となる地史イベント・現象と生活史・生態型との関係を解明する。
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研究実績の概要 |
2023年度は8月に2週間ほどかけて北海道および東北地方での環境DNA採集調査を行い、17水系の48地点からSterivexフィルターサンプルを得た。調査を行った水系は、北上川、馬淵川、知内川、天の川、長万部川、鵡川、釧路川、標津川、湧別川、頓別川、天塩川、石狩川、十勝川、朱太川、岩木川、雄物川、最上川である。 また、最近になっていくつかSterivexフィルターからの収率の良い環境DNA抽出プロトコルが提案されている。一つは細胞溶解に用いるバッファー液量を増やすもので、もう一つはバッファー(QIAGEN社のBuffer AL)を別のもの(同社Buffer ATL)に置き換えるものである。環境DNA学会マニュアルで解説されている標準プロトコルとこれらの改変プロトコルとの差を把握した上でどのプロトコルを利用するか判断したいと考え、1地点あたり4レプリケートの1000mL環境水濾過サンプルを3地点で作成し、標準プロトコルを含む4つのプロトコルでDNA抽出してDNAの収率を比較した。サンプル数が少ないものの、最も収率の良い方法は判断できた。ただし、標準プロトコルでDNA抽出を行ったサンプルと定量メタバーコーディング結果を比較するには、収率の正確な倍率を得る必要がある。正確な倍率を算出するにはサンプル数が小さすぎるため、2024年度にサンプルを追加して検証する予定である。 DNA抽出プロトコル自体は決定することができたため、2023年度に採集したサンプルの分析を進めている。2024年度も引き続き日本の他地域からサンプルを収集し、分析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究期間開始直後の数年に渡って新型コロナウイルス禍が巻き起こり、野外サンプルの収集に不可欠な調査旅行を行うことができなかった。このため、研究遂行の最初のステップであるサンプル取得が滞ってしまった。また、2023年度には調査旅行を行うことができたが、北海道東北地方の調査後、西日本への調査予定期間に新型コロナウイルスに感染してしまい、調査を行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス禍のためにサンプル収集が行えなかった間、当初予定していた採集調査対象河川を有力なものに絞り込むことで採集調査の所要時間、および採集したサンプルの分析の所要時間を大幅に削減した。また、駐車地点から河川へのアプローチ路を予めオンライン地図等を用いて調査しておくことで、現地でのタイムロスの削減に努めた。これは実際に2023年度の調査で大いに役立った。DNA抽出プロトコルの改善も並行して進めることができたため、2024年度の採集調査と環境DNA分析では試行錯誤の必要な部分は減少しているはずである。また、採集調査の所要時間の削減により旅費も削減できたため、環境DNA分析をある程度は受託分析業者に依頼する費用も捻出できた。そのため、自ら行う分析と業者による分析の併用によって迅速に研究を進められるはずである。
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