研究課題/領域番号 |
20K06783
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
西田 佐知子 名古屋大学, 博物館, 准教授 (10311490)
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研究分担者 |
高野 温子 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 教授 (20344385)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 繁殖干渉 / 雑種化 / 植物 / 生物多様性 / 単為生殖 |
研究開始時の研究の概要 |
繁殖干渉は、別種の生物が間違って交配に加わることで子孫がうまく作れなくなる現象であり、近年、近縁種同士の共存を妨げる要因として注目を集めている。一方、一見繁殖干渉もなく共存しているように見える近縁植物の中に、実際は雑種化が進んで健全な子孫を作れなかったり、有性生殖を行えない事例が見つかっている。そこで、表面上は負の相互作用はないのに実際は雑種化している植物や、花をつけながら実際は閉鎖花(開かないまま自分の花粉で種子を作る花)で繁殖する植物について、近縁種が隣接する・しない個体群で形態・遺伝的多様性・繁殖生態等を比較し、繁殖干渉が健全な子孫の減少や多様性の低下をもたらしている可能性を検証する。
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研究実績の概要 |
生物の分布・生態においては、表面的には生育・共存しているように見えても、雑種化や子孫減少などが水面下で進み、多様性が減っていく状況があり得る。本研究の目的は、そのような状況が、最近注目され始めた繁殖干渉という種間相互作用によって起こっている可能性を明らかにすることである。繁殖干渉とは、近縁な生物同士が間違って交配に関わる結果、子孫が減ってしまう現象を指す。本研究では、近縁種同士なのに共存している植物で、実際は繁殖干渉が起こっている可能性、そして、その繁殖干渉によって雑種化などが起き、多様性が喪失している可能性の可視化を試みる。 研究当初は、近縁種が共存する個体群と共存しない個体群のある植物を選定し研究を行う予定であった。しかし、新型コロナウィルスの感染拡大状況が続いた影響で、植物選定という最初の部分の実施ができず、研究の大幅変更を強いられた。そこで、新規の植物選定は断念しつつも本来のテーマに叶う研究を目指した結果、2020-2022年度は、これまで研究してきた植物や他者の研究論文から研究対象を再発掘し、雑種化を起こしている植物について現地での生態調査と遺伝子解析を実行したほか、繁殖干渉がありそうなのに共存している植物の現状調査などを行った。 それらの成果を踏まえて2023年度は、複数種の繁殖干渉の実態調査、雌しべ-花粉間における繁殖干渉のメカニズムの調査などを行った。また、成果の一部を論文として発表した。具体的には、クワガタソウ属植物について論文を発表した(掲載済)。また、タムラソウ属植物についても論文を執筆した(現在査読中)。さらにクワガタソウ属、ツリフネソウ属、イセハナビ属植物について、栽培および野外での人工授粉実験を行った(研究継続中)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
やっと新型コロナウィルスの感染状況が落ち着き、本格的に野外調査などが行えるようになった。そこで、最初の計画とは若干異なるものの、繁殖干渉が疑われる植物や繁殖干渉が報告されている植物について、共存しているようにみえても雑種化という形で繁殖干渉が起こっている可能性や、他種の花粉がつきにくいことで野外では繁殖干渉の悪影響とは違う要因が共存に作用している可能性を探り、かつその調査の成果を論文につなげることができた。 タムラソウ属植物では、雑種を伴う形で繁殖干渉を起こしている状況について、次世代シーケンス解析などを含めた調査結果をまとめ、論文を執筆した(現在査読中)。クワガタソウ属植物では、人工授粉で明らかになった繁殖干渉の存在が野外ではっきりと感知できない現状について、早春の不安定な送粉状況が関与している可能性を考察した論文を発表した(掲載済み)。ツリフネソウ属植物については野外で、クワガタソウ属とイセハナビ属については栽培植物を用いて人工授粉実験を行い、花粉管観察を行うことで繁殖干渉のメカニズムを検証した(研究継続中)。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は最終年度に当たるため、研究成果の論文化を進めること、国内外の学会で発表をして研究成果をアピールし、かつ、他大学や他国の研究者との議論を深めることを目指す。具体的には、現在投稿中の論文について引き続き査読者らと議論を深め、よりよい論文としての公表を目指す。また、今年夏にスペインで行われる国際植物学会で研究の一部を発表するほか、スペインの野外での植物観察会に多国籍の研究者とともに参加し、現地の植物でも繁殖干渉という現象が普遍的に起こっている可能性を探るとともに、繁殖干渉の重要性について他の研究者へのアピールを目指す。 一方、昨年度までにまだ完結していない調査、とくにクワガタソウ属・ツリフネソウ属・イセハナビ属植物などでの繁殖干渉のメカニズムについて、主に雌しべ-花粉間の相互作用に注目して調査・実験を続ける。さらに、タムラソウ属については、すでに得られた次世代シーケンスのデータを元に、遺伝的多様性の解析を行えないか検討する予定である。
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