研究課題/領域番号 |
20K06797
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
鈴木 雅大 神戸大学, 内海域環境教育研究センター, 特命助教 (30637088)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 深所性紅藻 / 馬毛島沖 / DNAバーコーディング / 分類学 / 新種記載 / 深所性紅藻生態系 / 鹿児島県馬毛島沖 / 生理生態特性 |
研究開始時の研究の概要 |
鹿児島県馬毛島沖水深35-40 mの海底には,深所性紅藻生態系と呼ぶべき独特の生態系が存在する。本研究では,馬毛島沖の深所性紅藻の種多様性を把握するため,ドレッジ調査を実施し,採集した紅藻のDNAバーコーディングと,未記載種の分類学的検討を実施する。 採集された紅藻数種についてパルス変調クロロフィル蛍光測定法(PAM法)と酸素電極を用いて光化学系IIにおける最大量子収率(Fv/Fm)と酸素発生速度に基づく光合成速度を測定する。各種の光合成活性及び光合成に至適な温度・光環境を比較し,深所性紅藻の光合成特性に基づく生理生態特性を明らかにする。
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研究実績の概要 |
2022年度は,鹿児島県馬毛島沖にて2022年5月15, 16日,6月4, 5日,9月29日にドレッジ調査を実施したが,2021年度と同様に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行のため,鹿児島大学水産学部練習船「南星丸」への乗船は自粛し,調査は鹿児島大学のスタッフのみで行われた。採集したサンプルを送付して頂き,103サンプルについて,遺伝子解析,形態観察,標本作製を実施した。内,69サンプルは,rbcL遺伝子とcox1遺伝子の塩基配列を決定した。作製した標本は国立科学博物館植物研究部標本庫に寄贈した。 rbcL遺伝子とcox1遺伝子の配列を決定した馬毛島沖産の紅藻サンプルは,累計242サンプルとなり,既知種との比較のため,他地域で採集した紅藻93種127サンプルを加え,分子系統解析を実施した。サンプルは,分類群ごとに分け,国際塩基配列データベースから各分類群に所属する全配列をダウンロードし,配列の精査,分子系統解析を行った。最終的に確認出来た種は142種となり,142種の内,既知の日本産種に同定出来たものは29種,日本新産となる種は10種,形態的には既知種に相当するが遺伝的に異なっていたものは27種,遺伝子配列,形態的特徴が共に既知種に該当せず,未記載,未報告と考えられるものは76種となった。未記載,未報告と考えられるものについては,新種あるいは日本新産種である可能性が高いと考えられる。 上記の結果を馬毛島沖の紅藻フロラのまとめとし,遺伝子配列と標本の登録,論文執筆を進めている他,未記載,未報告と考えられるものについて,海外で報告されている近似種との比較を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は,鹿児島県馬毛島沖におけるドレッジ調査に基づいて行われるものだが,2022年度においても新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行状況が改善せず,練習船に乗船することが出来なかった。調査自体は鹿児島大学のスタッフによって実施され,サンプルを入手することが出来たので,DNAバーコーディングと分類学的研究は概ね計画通りに進められ,採集したサンプルの遺伝子解析,形態観察は終了した。しかし,生育環境や光合成活性の測定などは実地調査が不可欠であり,2022年度もデータを得られなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は,DNAバーコーディングの結果を基に,馬毛島沖の深所性紅藻フロラリストを作成する。ドレッジ調査への参加が可能になり次第,実地調査の計画を立て,調査を実行する。
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