研究課題/領域番号 |
20K06803
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 独立行政法人国立科学博物館 |
研究代表者 |
海老原 淳 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, 研究主幹 (20435738)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | シダ植物 / ゲノムサイズ / 染色体数 / シダ類 / 倍数性 |
研究開始時の研究の概要 |
シダ類の染色体数は、被子植物よりも数が多い傾向が知られており、近縁種間での変化も顕著である。一方、シダ類のゲノムサイズは種子植物より大きいとされるが、実際に計測済みの種はごく少数にとどまっている。本研究では、劇的な染色体基本数変化を遂げたシダ類における、ゲノムサイズの進化的変動を解明するため、多様な系統の材料でDNA含量を測定する。既知もしくは新規観察する染色体数情報と組み合わせて、分子系統樹上に配置することにより、ゲノムサイズと染色体(基本)数の進化的関係性を理解する。
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研究実績の概要 |
ホングウシダ科エダウチホングウシダ類の主に日本産の材料を用いて、核DNAマーカーによる系統関係の解明と、フローサイトメーターによるDNA含量測定と染色体観察を行った。核DNAマーカーについては、前年度までにプライマーを開発したgapCpの1コピーに加え、LEAFY遺伝子を用いることで、安定的に塩基配列を得ることができた。大半のサンプルにおいて根端を用いた染色体数の観察も成功した。これらの解析結果により日本産エダウチホングウシダ類が、少なくとも7種の祖先種を起源として網状進化を遂げた群であることが推定された。本群の染色体基本数は、日本産に限ってもx=43からx=47までの変異が記録されていたが、本研究で確実に観察されたのはx=43と44のみであった。したがって、本群の染色体基本数の変化は従来考えられてきたよりも小さい可能性が指摘された。結果として、当初想定よりも染色体基本数の変化幅が小さくなったため、基本数x=43が確認された個体と、x=44が確認された個体の2群に分けてフローサイトメーターによるDNA含量測定を行ったが、これまでのところ有意な差は得られていない。機器の測定精度が原因である可能性も含めて、慎重に検討を行っている。 より顕著な系統内での染色体基本数の変化を示す分類群としてコケシノブ科があり、国内産ではx=21からx=36まで変化することが知られている。その主要系統の冷凍された組織サンプルを研究代表者が保存している。本年度は、その材料を用いてフローサイトメーターによるDNA含量測定を行ったところ、一部のサンプルでは良好なデータが得られたものの、十分に結果が得られないサンプルもあり、染色体基本数とゲノムサイズ進化の関係性の考察にまでは至らなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
冷凍保存していた生サンプルの一部の細胞の状態が悪く、DNA含量データが得られなかった他、結果が得られたものについても期待した精度が得られないものがあった、現在使用している染色色素がDAPIであることが原因の可能性がある。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、一部で協力者の同行を依頼できなかったことにより予定していた一部の現地採集を見送らざるを得ない状況が発生した。
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今後の研究の推進方策 |
正確なDNA含量測定のため、業者への外部委託あるいは外部機関の機器借用による蛍光色素にPIを用いた測定を検討する。コケシノブ科の材料の状態に起因する可能性があるDNA含量測定の不良については、国内産で可能なものを再サンプリングすることで対応する。
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