研究課題/領域番号 |
20K06805
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 独立行政法人国立科学博物館 |
研究代表者 |
保坂 健太郎 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, 研究主幹 (10509417)
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研究分担者 |
糟谷 大河 慶應義塾大学, 経済学部(日吉), 准教授 (90712513)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 菌類 / きのこ / 分布 / 境界 / 市民科学 / 環境DNA / DNAバーコーディング / 北限 / 微生物 / 市民参加型調査 |
研究開始時の研究の概要 |
植物や動物は標本データからある程度の分布域を推測することができるが、きのこ類は標本情報と実際の分布域に大きな乖離がある。これはきのこ類の主体が菌糸や胞子であり、肉眼で確認できる子実体発生の有無だけでは、存在が見逃されてきただけ、という可能性を排除できないからである。本プロジェクトでは、1) 市民参加型調査による情報収集、2) 環境DNAによる対象種の検出、3) 種内の遺伝的多様性解析、などを通じ、きのこ類の国内分布域の北限および南限のパターンを推定する。特に最近の分布北上が強く示唆され、顕著な形態的特徴をもつきのこ類複数種を対象とすることで、前例のない精密な分布図を描くことを可能にする。
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研究成果の概要 |
カエンタケおよびヌメリイグチ属複数種について種特異的プライマーを作成し、子実体採取を経ずに土壌中から種特異的に検出できることを確認した。オオシロカラカサタケ、ソライロタケ、シンジュタケ、カエンタケについてはMIG-seq法によりSNPs解析を試みた結果、国内における分布の境界で、人為的な導入とは言い切れないパターンを検出した他、隠ぺい種の存在が示唆された。ニンギョウタケモドキ科の複数種についても、系統解析の結果、既知種と異なる複数の新規系統を見出した。カエンタケを含む数種についてはSNSを利用した情報収集により、信頼のおける発生情報を大量に取得することに成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
きのこ類のように肉眼で確認できる時期が限られ、かつ種の同定が難しいグループについては、限られた人数・期間で分布域を特定することは困難である。本研究ではSNSを通じて日本全国に幅広く情報提供を呼び掛けた結果、約2年間に渡りカエンタケの全国的な発生状況を把握することができた。そのデータには誤同定と思われるものは限定的であり、きのこの分布把握に市民科学的手法が活用できることが実証されたと言える。本プロジェクト期間中に得られた標本からはほぼ全てDNAバーコード領域の塩基配列を確定しており、今後さらに対象種のDNAを環境中から検出する際に広く活用することができる。
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