研究課題/領域番号 |
20K06814
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
畑 啓生 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 教授 (00510512)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | サンゴ礁 / 生物多様性 / 地球温暖化 / スズメダイ / なわばり / 藻類食 / サンゴ大規模白化 / 藻食性スズメダイ / 保全 / 種間関係 |
研究開始時の研究の概要 |
現在地球温暖化が進行する世界のサンゴ礁では、サンゴの大規模白化という大規模撹乱が頻発している。この攪乱に対するサンゴ群集の復元力には、サンゴと競合する藻類を食べる藻食者が貢献するが、サンゴ礁で優占する、なわばりを防衛する藻食性スズメダイ類の影響 は未知である。本研究では、沖縄のサンゴ礁域で、2015年から観察しているスズメダイのなわばり内外を追跡し、大規模白化からのサンゴ群集の再生の過程にスズメダイのなわばりが果たす役割を明らかにし、今後の大規模白化の影響をモニタリングする。本研究により、なわばり性スズメダイ群集を考慮することで各地のサンゴ礁の復元力が評価できるようになると期待される。
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研究成果の概要 |
本研究は藻食性スズメダイによるサンゴ群集の復元力への貢献を明らかにすることを目的とした。藻食性スズメダイのなわばり内外のサンゴ群集を追跡したところ、なわばりでは、ミドリイシやハナヤサイサンゴ属が多く生育し、種多様性と被度が高いサンゴ群集が成立した。調査期間にサンゴの大規模白化が発生し、特にミドリイシ属のサンゴが高い死亡率を示したが、スズメダイのなわばり内では、ミドリイシが被度を回復させ、サンゴ礁のレジリエンスに寄与することが示された。つまり、なわばりを持つ藻食性スズメダイが、サンゴの白化後にサンゴ着底の新たな基盤を拓き、サンゴ群集のレジリエンスを向上させることが示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、地球温暖化による海水温上昇が引き起こすサンゴ礁の大規模撹乱下でスズメダイのなわばりがサンゴ群集の初期再生に果たす役割を明らかにすることを目的とした。研究結果からは、スズメダイのなわばり内が白化による被害を受けやすいサンゴ種の回復の場として機能している可能性が示唆された。この知見は学術的にも重要であり、また、近年世界中で確認されているサンゴ白化問題や日本のサンゴ礁の保全にも大きな意義がある。今後はさらなる追跡調査が必要であり、持続可能なサンゴ礁の保護や管理計画の策定に向けた貴重な情報を提供することが期待される。
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