研究課題/領域番号 |
20K06818
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
米谷 衣代 (三木 衣代 / 米谷衣代) 近畿大学, 農学部, 講師 (50618593)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 群集集合 / 植物揮発性物質 / 香りシグナル / 植物ー動物間相互作用 / 先駆者 / 先住効果 / HIPV / アブラナ属植物 / 動物ー植物相互作用 / 動物と植物の相互作用 / 植物の誘導応答 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、生物群集の形成過程において「偶然性」と生物の定着順序が群集構造に与える影響(=「先住効果」)の強度を決定する機構は何か、という問いに答えることを目的とする研究である。特に植物上に形成される昆虫群集に注目して、アブラナ科アブラナ属植物を用いた圃場実験および室内実験を行い、植物上の節足動物の移入・定着・個体数・香りシグナルを含む二次代謝産物の時系列データを収集し統計解析を進める。これにより偶然性が強くかつ先住効果の大きな植物種が持つ香りシグナルと誘導応答の特性を解明し、群集形成過程が植物間で多様化する機構の理解をめざす研究である。
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研究成果の概要 |
生物群集形成における「先住効果」の強度を決定するメカニズムについて研究した。具体的には、植物上の昆虫群集に着目し、仮説1:最初に定着する植食者の種類が植物の香りシグナルによって決まる、仮説2:先住効果は植物の誘導応答の種特異性によって顕著になるという2つの仮説を仮定した。ヤナギの系での検証では、仮説1について、後期の群集形成においては、PVOCの組成と初期の群集形成が関連しており、PVOCが環境フィルターとして働いていることが示された。仮説2では、誘導応答の強さと群集形成との関係性は見られず、アブラナでは、植物を食害する害虫の種類によって後続の節足動物群集の組成が変化することが示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的問いは「生物群集の形成過程とその結果としての群集構造はどのような機構で決定されるのか?」であり、これは群集生態学における根幹的問いの一つである。この問いに答えるために偶然性と先住効果の理解を深化させることは、単に群集生態学分野において世界的に新たな知見をもたらすだけでなく、さらに波及効果として各分野の研究アプローチに革新をもたらす。さらには、本研究で明らかになる植物上の節足動物群集形成機構は、農生態系での有害昆虫の移入を抑制・有益昆虫の移入を促進するような害虫防除技術の開発における基盤的知見を提供することができる。
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