研究課題/領域番号 |
20K06819
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
金谷 弦 国立研究開発法人国立環境研究所, 地域環境保全領域, 主幹研究員 (50400437)
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研究分担者 |
伊藤 萌 東京大学, 大気海洋研究所, 特任研究員 (20772817)
中井 静子 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (40582317)
三浦 収 高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 准教授 (60610962)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 寄生 / 干潟 / 気候変動 / 緯度間比較 / 巻き貝 / 二生吸虫 / ホソウミニナ / 感染率 / 多様性 / 緯度勾配 / 宿主 / 栄養関係 / ウミニナ類 / 干潟生態系 / 緯度変化 / 底生動物 / 緯度間変動 / 生態系機能 / 寄生虫 |
研究開始時の研究の概要 |
寄生虫は宿主の行動、代謝や成長を変化させ、個体群動態をコントロールする。本研究では、干潟で優占する巻き貝ホソウミニナ(二生吸虫の第一中間宿主)に注目した。二生吸虫はホソウミニナの繁殖能力を奪い、ホストを巨大化させて自身のセルカリア幼生を生産し、毎日大量の幼生を水中へと遊出する。本研究ではまず、現地調査により二生吸虫の感染率と種組成の緯度間変動を明らかにし、次に室内実験によって感染がもたらす宿主の代謝変化と、セルカリア幼生遊出速度の温度依存性を調べる。以上に基づき、気候変動が宿主‐寄生虫間の相互作用にもたらす影響と、生態系機能の改変可能性について推定する。
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研究成果の概要 |
北海道から宮崎県までの66地点で得られた巻き貝ホソウミニナを解剖したところ、8種の二生吸虫が記録された.感染率は地点間で0~99%まで変動し,最大出現種数は7種だった.二生吸虫の感染率と多様性は,高緯度ほど有意に高くなり,要因として以下が挙げられた.(1)鳥や魚を含む宿主の現存量や個体群の安定性が高緯度ほど高い,(2)宿主が高緯度ほど長寿命で生涯を通じてより感染しやすい,(3)感染個体の死亡率が低緯度ほど高い.二生吸虫については第二中間宿主や終宿主も明らかになっておらず,隠蔽種を含んでいる可能性もあることから,生活史の解明や遺伝子による種同定も今後の課題と考えられる.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
寄生虫は、沿岸生態系において食物網の連鎖長、結合性、頑健性を規定する重要な要素の一つであることが指摘されている。寄生虫は宿主の個体群動態をコントロールするのみならず、群集内での種間競争や物質循環を変化させ、群集の生物多様性を変動させる効果がある。近年に至るまで、寄生虫は宿主の体内に隠れ住む隠蔽的な生活様式のために、生態系内での役割が正しく評価されてこなかったが、彼らは生態系内における重要な「ミッシングリンク」の一つであり、その動態解明は生態系内における群集動態や物質循環過程を理解するうえで極めて重要なテーマである。
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