研究課題/領域番号 |
20K06833
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
|
研究機関 | 昭和大学 (2023) 独立行政法人国立科学博物館 (2020-2022) |
研究代表者 |
柿嶋 聡 昭和大学, 大学共同利用機関等の部局等, 講師 (30648580)
|
研究分担者 |
西田 佐知子 名古屋大学, 博物館, 准教授 (10311490)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 一斉開花 / 生物間相互作用 / 生物時計 / 繁殖干渉 / 生活史 / 繁殖様式 / 適応進化 / 周期植物 / 周期性 |
研究開始時の研究の概要 |
植物には、タケのように、集団が1年を越える一定の周期で一斉開花・枯死する生活史をもつ植物(周期植物)がある。周期植物の多くは数十年というきわめて長い周期を持つため、その進化要因や進化過程はほとんど未解明である。本研究では、沖縄島で6年周期で一斉開花し枯れるキツネノマゴ科のコダチスズムシソウに注目した。これまでに一斉開花・結実の進化要因として知られてきた捕食者飽和説、受粉効率説に加え、新たに本研究で提唱する繁殖干渉仮説といった生物間相互作用について検証を行い、コダチスズムシソウにおいて6年周期一斉開花の進化が生じた要因を解明する。
|
研究実績の概要 |
一斉開花とは、何年かに1度、通常の年よりも、はるかに多くの花を個体間で同調して咲かせる現象である。一斉開花する植物の中には、タケのように、集団内のほとんどの個体が2年を越える一定の周期で一斉開花・結実し、枯死する生活史をもつ植物(周期植物)がある。周期植物の多くは、数十年というきわめて長い周期を持つため、その進化要因や進化過程はほとんど未解明である。そこで、沖縄島で6年周期で一斉開花・結実し枯れるキツネノマゴ科のコダチスズムシソウに注目した。コダチスズムシソウは八重山諸島や台湾の集団では一斉開花しないことから、周期的一斉開花は沖縄島で進化したことが推定されている。本研究では、生物間相互作用に注目し、6年周期一斉開花の進化要因を解明することを目的とした。これまで一斉開花や一斉結実現象の進化要因として有力であると考えられてきた捕食者飽和仮説、受粉効率仮説に加え、新たに本研究で提唱した繁殖干渉仮説について検証を進めた。繁殖干渉仮説とは、コダチスズムシソウが周期的に一斉開花する沖縄島のみで毎年開花するオキナワスズムシソウと同所的に生育することから、一斉に開花することで種間の繁殖干渉の影響を緩和しているという仮説である。野外集団において人工授粉実験を行い検証したところ、相互に弱い繁殖干渉の存在が確認された。また、コダチスズムシソウは自動自家受粉により結実が可能であるものの、送粉者の存在により結実率の上昇が見られた。一斉開花の際には送粉者の訪花頻度が上昇することから、一斉開花により受粉効率が向上していることが示唆された。これらの成果から、生物間相互作用が6年周期一斉開花の進化へ与える影響が明らかとなってきた。
|