研究課題/領域番号 |
20K06844
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45060:応用人類学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
岩崎 賢一 日本大学, 医学部, 教授 (80287630)
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研究分担者 |
小川 洋二郎 日本大学, 医学部, 准教授 (60434073)
加藤 智一 日本大学, 医学部, 助教 (10786346)
田子 智晴 日本大学, 医学部, 助手 (70780229)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 体液シフト / 高二酸化炭素血症 / 脳血流調節 / 頭低位 |
研究開始時の研究の概要 |
宇宙飛行や、頭側を下げた状態で腹腔鏡を使って行う手術においては、身体の中の体液(血液や水分)が頭の方向(上方)に分布した状態になる。これに加えて宇宙飛行中や腹腔鏡の手術の際は、血液中の二酸化炭素が高くなる場合(高二酸化炭素血症)がある。この二つの状態(体液の頭方向への分布と血液中の二酸化炭素の増加)に同時に曝露されると、脳の血流の調節が悪くなる可能性がある。特に体液の頭方向への分布の程度が増すと、脳血流調節の悪化が著しくなる可能性がある。それらを明らかにするため、二酸化炭素吸入中にベッドの頭側を下げる角度を複数段階にし体液の上方変位の程度を変えながら、脳の血流や酸素飽和度を測定して検討する。
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研究成果の概要 |
20例の実験対象者において、3段階の頭低位(5度、15度、30度)と3%二酸化炭素負荷の複合の負荷を10分間おこなった。そして、血圧と脳血流波形を解析し脳血流調節能を評価した。その結果、「頭低位と二酸化炭素の複合負荷で、脳血流調節機能が低下すること」「頭低位の角度が大きいと脳血流調節機能の低下が大きくなること」などを捉えた。 一方、脳血流については関連実験から、「30度以下の頭低位単独負荷では影響を受けないこと」「健常成人では頭部位置の違いが脳灌流圧等に差を与えても脳血流には影響しにくいこと」「頭低位で脳内酸素飽和度が予想に反して上昇する」という追加の知見も得て、学会発表や論文発表を行った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
宇宙飛行や頭低位状態で行う腹腔鏡手術の広まりにより人類は体液上方変位の状態に曝される機会が多くなってきた。また、国際宇宙ステーションでは環境中の二酸化炭素濃度が高く重力による空気の自然対流もなく呼気の高濃度二酸化炭素が停滞しやすく、腹腔鏡手術では二酸化炭素ガスを注入し腹腔を膨らませ軽度の高二酸化炭素血症になる。これらの状態に関連した視機能変化や頭部臓器の合併症リスクが捉えられている。今回の研究で得られた知見は、宇宙飛行士の健康管理や頭低位腹腔鏡手術患者の合併症リスク軽減のために応用可能であり、体液シフト予防対策や頭低位角度を浅くすること、二酸化炭素濃度の上昇を抑えることなどが重要と示唆できる。
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