研究課題/領域番号 |
20K06854
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
菅生 紀之 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 特任准教授(常勤) (20372625)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 神経発生・分化 / DNA修復 / 突然変異 / DNAメチル化・脱メチル化 / 分子・細胞・神経生物学 / 神経細胞分化 / DNA脱メチル化 |
研究開始時の研究の概要 |
正常なヒト脳の発生発達過程では、多くの体細胞突然変異が神経細胞に生じることが明らかとなってきた。それは多様化のメカニズムと考えられている一方で、過剰になると脳発達障害や精神神経疾患に繋がることが示唆されている。しかし、いつ・どこで・どのように変異が蓄積するのかに関しては不明な点が多い。本研究は、神経細胞の発生分化プログラムに組込まれたDNA修復酵素Polβ依存的DNA脱メチル化に際してのゲノム不安定性に焦点をあて、マウスおよびヒトiPS細胞由来大脳オルガノイドを用いて高頻度体細胞突然変異の分子メカニズムを調べる。
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研究成果の概要 |
マウスおよびヒトiPS細胞由来脳オルガノイドの発生過程の神経前駆細胞において、DNAポリメラーゼβがエピジェネティックな遺伝子発現制御である能動的DNA脱メチル化に際してのゲノム安定性維持に不可欠であることを明らかにした。さらに、神経細胞の全ゲノム塩基配列を詳細に調べたところ、DNAポリメラーゼβ欠損により神経細胞関連遺伝子のDNA脱メチル化を受けるCpG配列に高い頻度で挿入・欠失の突然変異が誘発されることを明らかにした。また、その制御に細胞内ビタミンC濃度調節が重要である可能性が示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
発生発達段階の神経細胞における突然変異が自閉症スペクトラ障害など脳発達障害や精神神経疾患の原因になることが示されている。しかし、いつ・どこで・どのような過程により神経細胞ゲノムにDNA損傷さらに突然変異が惹き起こされるのか、またその環境要因に関しては多くの点が不明であり学術的に極めて重要な問いである。本研究において明らかとなった神経細胞の発生・分化に不可欠な能動的DNA脱メチル化の過程におけるDNAポリメラーゼβの役割は、そのメカニズム解明に向けて極めて重要な発見であり、細胞内ビタミンC濃度調節の重要性が示唆されたことは疾患の予防介入に向けた研究に貢献できる成果である。
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