研究課題/領域番号 |
20K06860
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022) 大阪市立大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
宮脇 寛行 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 講師 (40785979)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 神経生理学 / 記憶固定化 / 大規模電気生理学 / 恐怖学習 / 睡眠 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトを含む動物は経験を通して記憶を獲得し、必要に応じて想起することでその行動を変えることができる。記憶の形成は単一のプロセスではなく、経験時に一時的な記憶として獲得され、それが睡眠中に永続的な記憶として固定化される。この一連の記憶プロセスには、脳領域間ネットワークの変化によって実現されていると考えられているが、その詳細は不明である。そこで本研究では、大規模計測と神経活動への介入実験を組み合わせ、脳領域間ネットワーク変化とその制御機構を明らかにする。
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研究実績の概要 |
記憶は覚醒時の経験を通して獲得され、その後の睡眠中などに安定な形へと固定化される。この一連の過程の中で、その記憶の責任部位が変化してゆくことが知られている。このことは、脳領域横断的な神経ネットワークが記憶プロセスにともない変化していることを示唆している。一方、個々の脳領域内では、記憶の獲得時に活性化した神経細胞群が記憶の想起の際に再び活性化していることが報告されている。これは、それぞれの脳領域の局所ネットワークは、記憶のプロセスを通して比較的安定していることを示唆している。このように、脳領域間ネットワークと局所ネットワークのレベルでは、それらのダイナミクスが大きく異ることが示唆されている。しかし、これらの異なるダイナミクスのネットワークがどのように組み合わされることで、記憶機能が支えられているのかは不明である。 この点を検討するため、前年度までに自由に行動しているラットの脳の3つの領域から同時に、大規模電気生理学記録を行う手法を確立し、記憶の獲得にともない脳領域横断的な同期活動が生じるようなることを明らかにし、これらの同期活動に脳波上の速いオシレーションが関与していることを示唆する結果を得ていた。速い脳波オシレーションは細胞集団の一過的な同期発火をともなうことから、シナプスの可塑的な変化を誘導するのに適した活動パターンであると考えられている。 そこで本年度は、速い脳波オシレーションが脳領域横断的なネットワークの変化を駆動している可能性を検討することを目指し、脳波オシレーションのリアルタイム検出アルゴリズムの構築・改良を行った。さらに、既に記録されたデータを用いてアルゴリズムの検証を行い、実用に耐えるレベルの検出精度を達成できることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
脳波の速いオシレーションのリアルタイム検出技術について、アルゴリズムについては構築済みであり、そ実データを用いた検証も行っている。しかし、このアルゴリズムを実際の機器に実装する段階に遅れが生じている。遅延の主な理由は機材調達の遅れであるが、必要な機材は昨年度末までにほぼ調達を完了しており、今後速やかに実装を進めることができるとの見通しから、「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
速い脳波オシレーションが脳領域横断的なネットワークの変化に関与している可能性について、脳波オシレーションにともなう神経伝達への選択的な介入を行うことで検証する。この目的のため、まず脳波オシレーションのリアルタイム検出技術を確立する。これまでに、脳波オシレーション検出のアルゴリズムについては構築済みであるため、このアルゴリズムを実際にリアルタイム信号処理システムに実装する。 並行して、脳波オシレーションへの介入の効果を評価するのに適した行動実験系の構築ならびに光遺伝学を用いた神経活動介入の有効性を検証を行い、脳波オシレーションにともなう神経伝達がもつ生理学的な意味を明らかにするための実験系を確立する。
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