研究課題/領域番号 |
20K06889
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46020:神経形態学関連
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
小西 慶幸 福井大学, 学術研究院工学系部門, 教授 (00382838)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 軸索 / ミトコンドリア / ATP / 軸索輸送 / 神経 |
研究開始時の研究の概要 |
脳内の信号が正常に伝達されるためには、神経細胞の軸索の形態が維持されることが必須である。停止型ミトコンドリアは軸索内に散在し、軸索維持に必要なATPを局所的に供給することから、効率的なATP供給のため、その分布を調節する未知のシステムが存在すると予想される。これまでの研究で、停止型ミトコンドリアが移動型に転換しながら、軸索内で一様性の分布を維持することを明らかにした。本研究はその制御機構の解明を目指すものであり、その成果は軸索機能の異常を伴う様々な神経疾患についての新たな病態モデルの構築や診断法の確立につながる可能性が期待される。
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研究実績の概要 |
軸索内に散在する停止型ミトコンドリアは、局所的に必要なATPを供給することで軸索形態の維持に重要な役割を担うと考えられる。このため、停止型ミトコンドリアの分布を調節するシステムが存在すると予想されるが、その実態は不明である。前年度までの研究結果により、軸索内のミトコンドリアの一様な分布が、ミトコンドリアが産生するATPの濃度勾配に従って制御されることが示唆された。 そこでATPの産生異常によりミトコンドリアの分布が変化するか検証を試みた。軸索全体でのATP産生の変化は、ミトコンドリアの運動性を変化させたものの、軸索全体におけるこれらの分布には大きな影響を与えなかったため、ミトコンドリアの機能の不均一性とミトコンドリアの間隔の関連を解析した。OPA1はミトコンドリア内膜の融合に必要な因子であり、その阻害は、ミトコンドリアの品質管理機構を破綻させ、神経変性疾患の原因となる。小脳顆粒細胞においてOPA1のRNAiを行うことで、サイズの小さいミトコンドリアや、膜電位を消失したミトコンドリアが増加することが確認できた。これらのミトコンドリアと隣接するミトコンドリアとの距離を解析した結果、同じ軸索の正常なミトコンドリアと比較して間隔が有意に小さいことが示された。これらのミトコンドリアが産生するATPは他のミトコンドリアと比較して少ないことが想定されるため、本研究の結果はミトコンドリアが産生するATPの濃度勾配に従って軸索内のミトコンドリアの分布が調節されるというモデルを支持する。加えて、ミトコンドリアの分布の解析から軸索内のミトコンドリアの異常を検出できる可能性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画した優先順位の高い実験については順調に進み、これまに成果を論文として公表している。 ミトコンドリアの分布を制御するシグナルについて、実験項目の一部は達成されておらず、次年度継続して解析を行う。
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今後の研究の推進方策 |
ミトコンドリアから産生されるATPが、直接的にミトコンドリアの運動性を調節するのか、または下流のシグナル因子を空間依存的に調節することで間接的にミトコンドリアの運動性を制御するのか不明である。今後はATPにより制御を受けるシグナル経路についての解析を進める。またシナプス因子やアクチンとミトコンドリアの停止との関連が報告されており、本研究で対象とする軸索内のミトコンドリア分布との関連について解析を行う。
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