研究課題/領域番号 |
20K06891
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46020:神経形態学関連
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 (2022) 大阪大学 (2020) |
研究代表者 |
畠中 由美子 公益財団法人東京都医学総合研究所, 脳・神経科学研究分野, 研究員 (40271548)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 発生・分化 / 大脳皮質 / 神経幹細胞 / 投射ニューロン |
研究開始時の研究の概要 |
大脳皮質では興奮性ニューロンの配置によって領野や層構造といった解剖学的構造が形成される。皮質機能を理解する上でこのニューロン配置の規則性を明らかにすることが重要である。興奮性ニューロンは皮質脳室帯の幹細胞から分化するが、分化過程には幹細胞から直接分化するものと神経前駆細胞を介して間接分化する2つの様式があるが、皮質形成におけるこれらニューロンの寄与は不明である。本研究では生体内における直接/間接分化ニューロンを区別して標識し、各領野や層構造間のこれらニューロンの割合を明らかにする。また、これらニューロンの性質を調べることで、皮質形成における直接/間接ニューロン分化の意義を明らかにする。
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研究実績の概要 |
大脳皮質ニューロンの分化過程では、神経幹細胞からの直接分化と神経前駆細胞を介する間接的分化の2つの様式があることが知られている。しかし、これら分化様式が実際の皮質形成過程で果たす役割は未だに不明である。本研究ではマウス大脳皮質を対象に、それぞれの様式を経て分化したニューロンの割合、分布、細胞タイプ等を解析し、皮質形成過程におけるこれら様式が果たす役割を明らかにすることを目的としている。昨年度までに、間接分化を経たニューロンを同定する方法を確立し、1次体性感覚野を含め多くの領野で間接分化ニューロンの割合が神経産生の初期に高く、これらが皮質外投射ニューロンとなることを示した。また、同時期に生じた直接/間接分化ニューロンについて、それぞれのマーカー発現やその分布を比較したところ、細胞タイプに差はあるもののその差はわずかで、分化様式の差よりも、むしろ分化決定時期が細胞タイプ決定には大きな影響を持つことを示してきた。本年度は、さらに、間接分化によって生じるニューロン間の細胞タイプを比較するため、MADM(mosaic analysis with double markers)法を用いて、神経産生初期に1つの神経前駆細胞から生じる娘ニューロンを標識しこれらを解析した。既に神経前駆細胞の大部分は1回の分裂により2つの娘ニューロンペアを生じること、分化直後はこれらペアの性質に大きな差は見られないことを報告している。そこで生後3週までペアを育てて成熟時の樹状突起の形態を比較した。その結果、一部のペアは尖端樹状突起の長さや、その向きに差を示すことがわかった。これらを総合すると、ニューロンタイプ決定において、基本的には分化様式よりも分化決定時期が重要であるが、間接分化を行うことで、そこにわずかなタイプ差と細胞数の調節が加わり、皮質ニューロンの多様性構成に寄与していると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ニューロン形態の正確な3次元解析のため、昨年度よりも解像度を上げて画像の再取得を行ったり、当初予定したIMARISによる自動トレースではエラーが多いことから半手動描画のImageJ(SNT)に変更したことで、形態解析に予想外に時間がかかった。また、これらを終えたのちにデータ整理を行い論文を完成させる予定であったが、年度後半に引越しを伴う所属変更があり、完成までにやや時間がかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題で掲げた当初予定の実験計画は遂行が完了し、データを得ることができている。2023年度は継続して論文を執筆し、完成させて投稿する。また、査読者からのコメントがあった場合に、これに対応する予定である。
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