研究課題/領域番号 |
20K06892
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46020:神経形態学関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
村上 安則 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 教授 (50342861)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 脊椎動物 / 脳 / 進化 / 発生 |
研究開始時の研究の概要 |
脊椎動物の脳には著しい多様性がある。特に外界からの情報を集める感覚系には様々な改変がなされ、哺乳類・鳥類・爬虫類では大脳(終脳)に視覚や聴覚の感覚中枢が生じる一方で、条鰭類では終脳以外の場所に味覚や電気感覚などの中枢が新規に創出されている。しかし、脳の起源や感覚中枢の多様化と発展を導いた分子機構については、未だに多くの謎が残されている。本研究では、羊膜類、条鰭類、軟骨魚類、円口類を用いて、発生中の脳の感覚中枢の形態や神経回路を詳細に観察し、時間的・空間的な三次元構築を行い、新規な中枢の確立に関わる候補遺伝子の発現・機能解析を進め、脳の始まりから多彩な高次中枢の発展に至る壮大な進化的変遷を探る。
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研究成果の概要 |
本研究では、羊膜類、条鰭類、軟骨魚類、円口類を用いて、脳の始まりから多彩な高次中枢の発展に至る進化的変遷を探ることを目的とした。円口類は小脳を持たないとされていたが、円口類の脳では、小脳の発生に関わる遺伝子が発現しており、その場所は他の脊椎動物で小脳が作られる場所と一致していた。このことから小脳の発生機構は脊椎動物の共通祖先の段階ですでに出来上がっていた可能性が示唆された。さらに、顎を支配する三叉神経には、円口類と軟骨魚類で大きな違いがあることが確認された。その結果を基に、顎口類と円口類の分岐の際に起きた過程に関するモデルを提唱した。その他、新皮質の多様化について鯨偶蹄類を用いた研究を行った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
脊椎動物の脳は、進化の初期の段階で多くの要素が獲得されたと考えられているが、その背景にある分子機構については不明な点が多い。本研究から、小脳の発生機構は脊椎動物の共通祖先の段階ですでに出来上がっていた可能性が示唆された。つまり円口類は小脳発生機構を持っているが、進化の過程では何らかの要因によりそれが起動することがなかったと考えられる。このような事例があったことが示されたことで、進化発生学の分野に新たに考察する価値のある進化シナリオを提示することができた。さらに、新規な形態が獲得される際に神経系はどのように変わるかという問題について、顎を支配する神経を例として、新規な考えを提供することができた。
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