研究課題/領域番号 |
20K06910
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46030:神経機能学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
別宮 豪一 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任講師(常勤) (20626353)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | パーキンソン病 / 線条体 / L-ドパ / ジスキネジア / ウィルスベクター / ΔFosB / DREADDs / グルタミン酸受容体 / L-ドーパ |
研究開始時の研究の概要 |
パーキンソン病は、中脳黒質のドパミン神経細胞が変性脱落することが原因であるが、その治療はドパミン製剤(L-ドパやドパミン作動薬)による補充療法に限られている。一方で、特に慢性期のパーキンソン病においてはドパミン神経の受け手である線条体の神経細胞にも機能の異常が起こっており、これが運動症状、特にL-ドパの長期投与により引き起こされる難治性の不随意運動(ジスキネジア)と密接に関連していることはあまり注目されていない。本研究においては、この線条体神経細胞の機能異常を是正することにより、不随意運動(ジスキネジア)をはじめとした運動障害の改善につながる革新的治療法を開発することを目的とする。
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研究成果の概要 |
片側パーキンソン病モデルラットの線条体において、①ウィルスベクターを用いてΔFosBを抑制した場合、ならびに②合成したデザイナーリガンドにより抑制を受ける遺伝子改変したGタンパク質共役受容体を線条体に発現させ神経細胞の活動を抑制した場合のいずれにおいても、L-ドパの薬理作用を減弱することなく、L-ドパ誘発性ジスキネジアの発現を有意に阻害できた。線条体における病理学的評価では、神経細胞毒性やグリア細胞の過剰な活性化は観察されなかった。いずれの方法においても、L-ドパによる運動症状改善効果を減じることなくジスキネジアの発現を抑えることができ、かつ安全面でも問題ないことが示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
L-ドパ誘発性ジスキネジアは、慢性期パーキンソン病患者においてADLを著しく低下させる運動合併症であるが、現時点では有効な治療法が存在しない。本研究では、動物モデルにおいてL-ドパの抗パーキンソン病効果を減弱することなく、かつウィルス注入による神経細胞毒性を呈することなく、有意にL-ドパ誘発性ジスキネジアの発現を抑制することができた。本研究の成果は、L-ドパ誘発性ジスキネジアに対する有効な新規治療法として可能性を有するものであり、慢性期パーキンソン病患者に対する新たな治療選択肢として期待できると考えられる。
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