研究課題/領域番号 |
20K06923
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46030:神経機能学関連
|
研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
田村 了以 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (60227296)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | 霊長類 / 海馬 / 3次元環境 / サル / テレメータ / 自由行動下 / ニューロン活動 / 動物位置検出 / データーロガー / 場所細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトもサルも,建物(=内部構造のある3次元環境)内を水平や垂直の方向を適宜組み合わせながら移動する.O'Keefe博士らが場所細胞を発見して以来,げっ歯類を用いた研究より海馬による自分の居場所の認知機構に関する知見が数多く出されてきたが,垂直方向の場所応答性に関する研究は少なく,特に霊長類では垂直方向も生活圏内で頻繁に見られる移動であるにもかかわらず全く研究されてこなかった.そこで本研究では,内部構造のある3次元環境内を移動しているサルの海馬からデータロガーを用いてニューロン活動を記録し,動物の移動方向(水平方向と垂直方向)と場所細胞の応答性との関係を明らかにする.
|
研究実績の概要 |
O’Keefe による海馬場所細胞の発見以来,げっ歯類の海馬における空間認知の神経基盤に関する研究は数多く行われてきたが,霊長類の海馬場所細胞に関する知見は極少数しかない.本研究の目的は,内部構造のある3次元環境内を移動しているサルの海馬からニューロン活動を記録し,動物の移動方向(水平方向 と垂直方向)と場所応答性との関係を明らかにすることである.従来の信号伝送ケーブルを介した神経活動記録は,サルが複雑な構造のある3次元環境内を移動する邪魔になるという問題点があった.これを克服するには,ニューロン活動の記録に信号伝送ケーブルを必要としないデバイス、例えば、データロガーやテレメータを用いることが必須となる.本研究代表者は昨年度までに,①電池式データロガーの開発とその小型化,②水平方および垂直方向にサルが移動可能な四角いドーナッツ状の3次元環境(2.4 x 2.4m)の作製,③サルがこの3次元環境内を時計方向や半時計方向に移動する行動の訓練,④AIを用いたサルの行動監視システム(サルの位置や頭位方向の同定が可能)の開発,⑤神経活動記録のためのヘッドキャップのサル頭部への装着手術などを行ってきた.本年度は,誘発電位マッピング法によりサル海馬の位置を正確に同定後,その直上にマイクロドライブ付きのテトロードを慢性埋め込みし,覚醒下で3次元環境内を移動しているサルの海馬からテレメータによりニューロン活動を記録し、その解析を行ってきた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本申請研究のための実験室や動物飼養施設のある医学部研究棟の改修工事が、令和3年の8月から始まりその年度いっぱい継続したこと,また新型コロナウイルス感染症流行(パンデミック)のため、動物実験を実施できない期間や、協力して実験を実施する特任助教(アメリカ人研究者)の入国遅延があり、事業計画の遂行に多大な影響が出た。本年度は単年度としての計画は順調に進んだが、事業計画全体としては今だ遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
計画した研究内容を達成するため,昨年度に引き続き再度1年間研究期間の延長を申請し承認された.この延長期間は,サル海馬からのニューロン活動記録実験を継続するとともに,データ解析や学会での成果発表に注力する.
|