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ベンザインの位置選択的連続型環化反応を機軸とする生物活性アクリドンの合成研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K06950
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分47010:薬系化学および創薬科学関連
研究機関湘南医療大学 (2021-2023)
武蔵野大学 (2020)

研究代表者

片川 和明  湘南医療大学, 薬学部医療薬学科, 准教授 (90433606)

研究分担者 小谷 仁司  島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 講師 (10594640)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
キーワードベンザイン / アクリドン / クロロスペルミン / 連続環化 / 全合成 / キナーゼ阻害 / ケミカルプローブ / 連続型環化反応
研究開始時の研究の概要

アクリドン類は多様な生物活性を示すにもかかわらず、医薬品としてほとんど用いられていない。これは官能基許容性に優れた一般的合成法が未だ確立されていないことが要因と考えられ、その合成法を確立できれば次世代医薬開発における重要な構造要素となり得る。本研究では、ベンザインとアントラニル酸誘導体の位置選択的連続型環化反応を機軸とする多置換アクリドンの一般的合成法を確立し、ダウン症やアルツハイマー病に関連するDYRK1A等のキナーゼ阻害活性を示すアクリドン型天然物クロロスペルミン類の網羅的全合成へと応用する。さらに構造活性相関情報を取得し、高活性誘導体およびプローブ分子等の各種関連誘導体合成へと展開する。

研究実績の概要

昨年度までの検討によりクロロスペルミン合成に必要となるベンザイン前駆体の合成には目途が立ったことから、本年度はもう一方のユニットであるアントラニル酸誘導体の合成について検討を行った。まず、モデル基質として市販の3-メトキシアントラニル酸 (化合物1) からN-メチル-3-メトキシアントラニル酸メチル (化合物2) への変換を試みた。化合物1をトリホスゲンと反応させてベンゾオキサジン誘導体とした後、窒素のメチル化、メタノリシスを経て目的の化合物2を3段階収率77%で得た。次にクロロスペルミンの合成に必要となる3位に保護されたフェノール性水酸基を持ち、窒素がメチル化されたアントラニル酸エステル (化合物3) の合成を試みた。市販の3-ヒドロキシアントラニル酸 (化合物4) を上記と同様トリホスゲンと反応させたが、予想に反し反応は進行しなかった。文献検索の結果、化合物3のキナゾリン誘導体への変換が知られていたことから、尿素と反応させてキナゾリン誘導体を得た。次にフェノール性水酸基をMOM基にて保護したのち、二つの窒素を一挙にメチル化した。キナゾリン部のメタノリシスにより目的の化合物3に相当する3-メトキシメチル-N-メチルアントラニル酸メチルの合成を試みたが、種々条件検討を行っても本反応は進行しなかった。さらに別ルートによる合成も検討した。化合物4をTMSジアゾメタンを用いてメチルエステルとし、フェノール性水酸基選択的にMOM化を試みたところ、30%と低収率ながら3-メトキシメチルアントラニル酸メチルが得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

これまでの検討により、クロロスペルミン類の合成に必要となるベンザインユニットの効率的合成を達成し、比較的単純な天然物合成に利用するアントラニル酸エステルユニットについても供給可能な状況となった。クロロスペルミン類の合成に必要となるアントラニル酸ユニットについては、研究実績の概要で述べたように3-メトキシメチル-N-メチルアントラニル酸メチルの合成を検討したものの、目的物質の合成は達成できていない。基質合成の効率化の観点から、3-ヒドロキシアントラニル酸をベンゾオキサジン誘導体へと誘導することが重要であると思われることから、本反応についてはさらに詳細な条件検討が必要であると考えている。一方で、モデル基質として設定した3-メトキシ-N-メチルアントラニル酸メチルもクロロスペルミン類の合成に利用することは可能であると思われ、少なくともクロロスペルミン類の骨格合成に向けた合成素子はそろった状況にはなった。なお、基質一般性の検討については未だ不十分であり、特に市販されているアントラニル酸誘導体から検討に必要な基質を調製する必要がある。

今後の研究の推進方策

天然物合成に最適なアントラニル酸ユニットの合成を検討する一方で、すでに利用可能となっているクロメン骨格を持つベンザインユニットと3-メトキシ-N-メチルアントラニル酸メチルの連続型環化反応によるアクリドン誘導体の合成を進める。本反応により得られるアクリドンは、最終的に脱保護してフェノール性水酸基とする酸素上の置換基がメチル基である以外は、計画していた化合物と変わりがない。すなわちこの誘導体を利用することで、プレニル化と環化反応等の各段階を検討することは十分に可能である。したがってこれらを用いてクロロスペルミンの骨格構築を検討し、適切なアントラニル酸ユニットが利用可能になり次第、得られた知見を活かしてクロロスペルミン類の合成を達成する。一方、連続型環化反応の基質一般性の検討のため、入手容易な市販のアントラニル酸誘導体から適切な反応基質を調製し、利用可能なベンザイン前駆体との連続型環化反応を検討して知見を得たい。

報告書

(4件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 研究成果

    (8件)

すべて 2023 2022 2021 2020

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Total Synthesis of 6-Deoxydihydrokalafungin, a Key Biosynthetic Precursor of Actinorhodin, and Its Epimer2021

    • 著者名/発表者名
      Kumamoto Takuya、Kainuma Mika、Takahashi Azusa、Matsuo Yoshika、Katakawa Kazuaki、Taguchi Takaaki、Ichinose Koji
    • 雑誌名

      Molecules

      巻: 26 号: 21 ページ: 6397-6397

    • DOI

      10.3390/molecules26216397

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Total Synthesis of (±)-4-deocyblenolide C via spirochromanone2021

    • 著者名/発表者名
      Kumamoto, T, Hasegawa, S, Adachi, K, Katakawa, K
    • 雑誌名

      Heterocycles

      巻: 103 号: 2 ページ: 1064-1064

    • DOI

      10.3987/com-20-s(k)60

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Ruthenium-Catalyzed Dehydrogenation of Alcohols with Carbodiimide via a Hydrogen Transfer Mechanism2020

    • 著者名/発表者名
      Shunsuke Sueki, Mizuki Matsuyama, Azumi Watanabe, Arata Kanemaki, Kazuaki Katakawa, Masahiro Anada
    • 雑誌名

      European Journal of Organic Chemistry

      巻: - 号: 31 ページ: 4878-4885

    • DOI

      10.1002/ejoc.202000416

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] T 細胞分化制御活性を有する天然化合物の解析2023

    • 著者名/発表者名
      小谷 仁司, 片川 和明, 矢作 忠弘, 井上 誠, 原田 守
    • 学会等名
      日本薬学会 第143年会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] T 細胞分化制御活性を有する天然化合物の解析2022

    • 著者名/発表者名
      小谷仁司, 矢作忠弘, 片川和明, 原田 守
    • 学会等名
      日本生薬学会第68回年会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] ルテニウム触媒とカルボジイミドによるアルコール類の酸化的脱水素反応の開発2020

    • 著者名/発表者名
      末木 俊輔, 渡辺 あづみ, 松山 瑞季, 金巻 新, 片川 和明, 穴田 仁洋
    • 学会等名
      第80回有機合成化学協会関東支部シンポジウム
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [学会発表] Pd複核錯体触媒と分子状O2によるケトンのα-メチレン酸化反応の開発2020

    • 著者名/発表者名
      末木 俊輔, 山田 古都乃, 菅野 里奈, 財津 優人, 相田 冬樹, 喜多 祐介, 清水 功雄, 片川 和明, 穴田 仁洋
    • 学会等名
      第64回日本薬学会関東支部大会
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [学会発表] N-シクロヘキセニル-N-プロパルギルスルホンアミドの環化異性化反応2020

    • 著者名/発表者名
      早川 裕之, 熊田 明香里, 紫藤 礼子, 片川 和明, 末木 俊輔, 穴田 仁洋
    • 学会等名
      第64回日本薬学会関東支部大会
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書

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公開日: 2020-04-28   更新日: 2024-12-25  

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