研究課題/領域番号 |
20K07008
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47020:薬系分析および物理化学関連
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
大栗 誉敏 崇城大学, 薬学部, 教授 (70346807)
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研究分担者 |
安楽 誠 崇城大学, 薬学部, 教授 (60398245)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 抗体エンジニアリング / Pichia pastoris / アダリムマブ / タンパク質の安定化 / 融合タンパク質 / FV / 抗体フラグメント / Fv / 抗体医薬品 / 耐熱化 / Fab |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では抗体医薬品アダリムマブをターゲットとし、その人工組み換え抗体フラグメントの開発に取り組む。これまでに植物由来のホモ二量体であるphlp7の極めて安定化した変異体の作製に成功している。この変異体は野生型が60℃から徐々に変性して85℃で完全に変性する条件において、二次構造がほとんど壊れない超耐熱型蛋白質であった。そこで本研究では、超耐熱性で抗原性の低いM5C変異体を抗体医薬由来Fvドメインと融合させ、超耐熱型の抗体フラグメントを作製し、抗原性が抑えられるかを検証する。さらに動物実験により体内動態及び薬理作用についての効果を調べる。
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研究実績の概要 |
抗体エンジニアリングの発展により、多くの抗体フラグメントが開発されている。Fv領域は抗原結合を担う必須のドメインであるが、単独では安定性に問題がある。そこで本研究では、熱安定性の高いタンパク質をFvへ融合させ、安定性の高い抗体フラグメントを作製することを目的としている。これまでに抗体医薬品アダリムマブのFv領域に、安定性が著しく上昇した二量体phlp7の分子間SS結合導入変異体を融合させた分子の発現系を構築し、酵母による調製を行ってきた。その結果、VHとVLからなる二量体タンパク質の調製に成功した。しかし融合しているphlp7の分子間SS結合の形成は確認出来ていなかった。2022年度はFvとphlp7をつなぐリンカーやFvのC末端アミノ酸の長さを変えた融合体など計10個の融合体を作製し、酵母より生産し調べたが、分子間SS結合形成は見られなかった。Phlp7はドメインスワッピングによる二量体構造を形成しており、単量体構造も形成することが報告されている。そこで2023年度では、phlp7の分子間SS結合が形成されないのは、phlp7が単量体構造を形成している事を考え、単量体形成を抑制する変異体の作製をおこない、単量体構造に必要なターン構造を抑制するためターン構造の出現頻度の低いVal残基の導入を試みた。これまで作製した数種の変異体のターン領域へVal-Val配列(G33V+S34V)を変異導入した結果、一部で分子間SS結合によるphlp7の二量体形成が初めて確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、これまで作製した変異体の数種に対し、phlp7の単量体形成を抑制し、二量体形成を促すVal-Val配列の変異を導入した結果、一部ではあるが、初めてphlp7部位の分子間SS結合による二量体形成が確認されたため。
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今後の研究の推進方策 |
Fv融合体の土台となるphlp7の分子間SS結合を形成させることが課題であったが、phlp7の単量体形成を抑制し、二量体形成を促すVal-Val配列の変異導入が有効であることを見出した。引き続き、リンカーアミノ酸の種類、長さ、リンカー接合部位を検討しつつ、Val-Val配列の変異を導入し、目的の融合タンパク質の作製を試みる。作製に成功した融合体については、熱安定性、結合活性を詳細に解析する。
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